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2003年10月02日(木) 03時02分

中国産エビから抗生物質 ニチレイ、770トン回収中朝日新聞

 ニチレイ(本社・東京)が中国から輸入した養殖エビから食品衛生法で残留が認められていないテトラサイクリン系抗生物質が見つかり、昨年に輸入した約770トン分の冷凍エビを回収していることが1日分かった。中国産エビを巡っては、厚生労働省が昨年8月、全ロット(コンテナ)を対象とした検査に強化していたが、今回のエビはすり抜けていた。同省は検疫に問題がなかったか調査する。

 同省や東京都中央区保健所などによると、最初に抗生物質が見つかったのは今年6月。宮城県内で流通していた冷凍エビ(昨年輸入分)を抜き取り検査したところ、同法で残留が認められていない抗生物質「クロルテトラサイクリン」が検出された。長期間継続して摂取すると、人体に影響があるとされている。

 これを受けて、同社の本社がある中央区の保健所は同社に対し、抗生物質が検出されたエビと同じ池で養殖されたと見られるエビ約4.2トン分の回収を指示。約300キロが回収・処分された。

 さらに今年9月、同保健所は、同社が昨年43回に分けて約774トン輸入していたことから、国内の倉庫に保管してあったエビの一部を検査した。その結果、3ロット分約44トンのエビの中から抗生物質が検出され、同保健所はこの44トン分の回収を指示。さらに、昨年輸入した残り730トンについても自主回収を求めた。

 ニチレイによると、現在、流通・加工業者を通じて回収中だが、抗生物質が残留していた原因は不明。同社は今年度から、養殖池でサンプリングしたエビを日本に空輸して検査するとともに、輸入後も独自に検査を始めた。

 昨年は、中国の養殖業者がどのような薬品や飼料を使っていたか把握していなかったという。同社は「業者向けの出荷が多く、消費者の不安をあおりたくないので公表を控えていた」と話し、商品名は明らかにしていない。

 厚労省は昨年、欧州連合(EU)の検疫強化や日本に輸入された別の業者のエビから抗生物質が検出されたことを重視。同年8月以降、検疫の検査では一番厳しい全ロット対象にしていたが、検疫では抗生物質が検出されなかった。厚労省監視安全課は「検体をとる基準の見直しを含めて検査方法の再検討をしないといけない」としている。

 <テトラサイクリン系抗生物質> 細菌のたんぱく質合成を妨げ、菌の増殖を抑える。多くの細菌に有効で、オキシテトラサイクリンが広く使われている。エビをはじめ牛、ブタなどの餌に混ぜるほか、人の治療でも使われる。食用の場合、人体への影響は不明だが、長期間摂取し続けると、耐性菌が生じる可能性がある。

(10/02 03:02)

http://www.asahi.com/national/update/1002/005.html