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2003年09月30日(火) 00時00分

テレビニュースで企業幹部が続けて低頭していた。JR中央線の… 東京新聞


 テレビニュースで企業幹部が続けて低頭していた。JR中央線の工事の復旧遅れと北海道の製油所の二つ目のタンク火災だ。前者は十八万人に迷惑をかけ、後者は街にすすを降らせる。わびねばならないし、ただわびられても困る▼技術には素人だが、中央線の方は単純な配線ミスが原因という。が、ミスより横着に思われるのは、まるでミスを見込んでいなかったかのように見えることだ。代替バスの手配はつかず、工事終了と思って駅に来た客はあ然とするしかなかった▼製油所の方では地震直後に一つ目のタンクが発火した。激しい揺れで浮きぶたがずれ、揮発性物質が露出した。二つ目も同様の状態と分かっていながら火災を防げなかった。酷な言い方かもしれないが、大きな公共被害が予想されながら手が尽くされないのは、中央線工事の混乱に似通う▼問題の根は、単純な過失や事故隠しと違って意外に深いのかもしれない。起きそうなことを起こしてしまうのは、幼稚か、さもなければ無責任でしかない。日本人得意の失敗を許さない経験主義、また職人風の完璧(かんぺき)主義は一体、どこへ行ってしまったのか▼最近、学者の中には社会規範として「世間」を説き直す声がある。世間体が悪いの世間だ。西洋のキリスト教社会、中国の儒教観に対し日本には世間という暗黙の監視者がいると説く。企業の信頼もその中にある▼今「世間」が弱くなっているのかもしれない。強くするには責任者の低頭だけではすまないぞともっと叱(しか)ることだろう。世間が微温的では世間自身がだめになる。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20030930/col_____hissen__000.shtml