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2003年09月30日(火) 17時40分

カリフォルニア州で「電子機器リサイクル法」成立、州全域に回収拠点WIRED

 いよいよカリフォルニア州の住民が、地下室、ガレージ、物置をきれいに片づける時が来た——同州がまもなく、古くなったコンピューターやテレビを始末する安全な場所を提供してくれるのだ。

 グレイ・デイビス州知事は25日(米国時間)、「 http://www.leginfo.ca.gov/pub/bill/sen/sb_0001-0050/sb_20_bill_20030912_enrolled.pdf 2003年電子機器廃棄物リサイクル法(PDFファイル)」に署名するものとみられ、これで不要になった電子製品の回収とリサイクル業務が義務付けられることになる。同法は2004年7月に発効する予定。

 新しい法律によって不要になった電子製品の廃棄が簡単になるものの、根本的な問題に対処していない、という非難の声も上がっている。つまり、企業に廃棄物の責任を取らせる仕組みになっていないのだ

 新法は小売業者とメーカーに、小額の費用を課し、州全体にわたる規模のリサイクル・インフラストラクチャーを整備する資金にあてる。金額は6〜10ドルで、製品によって異なる。お金は製品の購入時に徴収し、地方の政府と電子機器リサイクル業者に配賦されることになる。そして地方政府と業者が、消費者が不要な機器を処分できる回収拠点を開設する計画となっている。

 リサイクルを推進する非営利団体『 http://www.cawrecycles.org/ カリフォルニアンズ・アゲインスト・ウェイスト』(CAW)の責任者を務めるマーク・マレイ氏は次のように述べている。「この法律は、不要になった電子廃棄物をリサイクルするための、費用がかからず手軽な方法をカリフォルニア人に提供することになる。われわれは、エンジン・オイルと飲料の空き缶に用いてきた有効なモデルを推進していく」

 マレイ氏によると、カリフォルニア州では、テレビやコンピューター・モニターなどに使用されるブラウン管のうち、リサイクルされるのは平均してわずか10〜15%にとどまるという。こうした機器を処分するには、消費者は通常、30ドル程度の料金を支払う必要があるが、一部には、不正に廃棄してしまう人もいる。また、『グッドウィル』などのリサイクル・ショップに寄付するケースもある。

 ブラウン管は鉛を含んでおり、人体にとって有害だと考えられている。カリフォルニア州では、これらを埋めたて地に投棄することは違法とされている。

 「電子機器の不法投棄の問題に、終止符を打つ必要性があった。州内のすべての区域に、電子廃棄物用の回収拠点が設置されることになる」とマレイ氏は話す。

 米アップルコンピュータ社、米IBM社、ソニーをはじめとする大部分のメーカーは、『SB20』としても知られる今回の法案を支持している。しかし米ヒューレット・パッカード(HP)社は、反対の立場をとっている。

 「私たちはコンピューターのリサイクルを支持するが、最終版の法案については反対だ」と、HP社のグローバル・パブリック・ポリシーの責任者を務めるデビッド・アイザクス氏は述べる。アイザクス氏によれば、料金制に基づいた手法は、「最も効率が悪いうえにコストが高く、環境に最良の結果をもたらすことにならない」という。

 HP社は、積極的にリサイクルを行なうつもりだが、コンピューターとモニターの回収拠点を設置することに、地方の政府が責任を持つことが望ましいと考えている。さらに同社は、インターネットを通じてメーカーから料金を徴収するのは困難だとみている。

 いくつかの非営利団体は、新しい法律は部分的解決にしかならず、より包括的な対策が必要だと指摘する。

 「法案が、生産者側の責任を厳しく規定した内容から、それが大幅に軽減される内容になったため、失望している。われわれとしては、当初の法案に近い規定を望んでいた」。『 http://www.computertakeback.com/ コンピューター・テイクバック・キャンペーン』(CTC)の運営責任者、デビッド・ウッド氏はこのように述べている。

 デイビス州知事は昨年、SB20に類似した法案に拒否権を発動し、より包括的な法案を求めていた。

 「カリフォルニア州の政治に現在起きている混沌とした状況が、当初の提案を台無しにしてしまった。リコール投票が迫っているため、州知事は前向きな法案をできるだけ多く成立させたいところだろう。そして、その中に、SB20の最終版も含まれることになる」とウッド氏は話す。

 今回の法案により、地方政府に資金が提供される点、そして段階的に廃止される有害物質のリストが、ヨーロッパの同様のリストに匹敵する内容になっている点をウッド氏は評価する。ヨーロッパは、世界で最も厳しく電子廃棄物を規制しているとされるためだ。ただしリストには、難燃剤で「デカ」と呼ばれるポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)類も追加することが望ましいと考えている。

 PBDE類は、テレビやコンピューターにしばしば使われる神経毒性のある化学物質で、『 http://www.ewg.org/ エンバイロンメンタル・ワーキング・グループ』(EWG)が23日に発表した最近の調査報告によると、人間の母乳からこの物質が検出されたという。

 マサチューセッツやウィスコンシンといった州でも、家電会社に、自社製品の回収と安全なリサイクルの金銭的な責任を負わせる法律の策定に取り組んでいる。

 メーカー側が回収を行なうという規定は、「コンピューターの設計を向上させる結果につながるモデルだと考えている」と、『 http://www.texasenvironment.org/ テキサス環境キャンペーン』の責任者であるロビン・シュナイダー氏は述べている。「リサイクルに実際にかかるコストは、価格や利益に関わってくる。企業は、そのような基盤で競争を行なって欲しい」

 製品の廃棄がメーカー側の問題ではないため、現在は、メーカーがより害のない製品を設計しようとするインセンティブが働かないのだ、とシュナイダー氏は指摘する。

 「地元政府や消費者は、設計に関して、メーカーが行なう方法をコントロールすることはできない」

[日本語版:湯田賢司/多々良和臣]日本語版関連記事

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