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2003年09月29日(月) 00時00分

古いピアノ、音色復活 調律師が修復1カ月プロ演奏家の手で、再び美しい旋律を奏でる修復ピアノ。児童たちは身動きせず聴き入った=昭島市立武蔵野小で朝日新聞・

 体育館の隅に、古いピアノがあった。長く使われ、傷みがひどく、音程も狂いがちだった。新品に買い替えられる運命だったが、すんでのところで調律師らが修復を申し出た。1カ月かけて直し、プロの演奏家が名曲を奏で、児童たちの前に美しい音色をよみがえらせた。ピアノの第2のステージの幕が上がった。

 昭島市立武蔵野小学校の音楽室で小さなコンサートがあった。桐朋学園大出身のピアニスト小田裕之さんらが、再生されたグランドピアノで、音楽クラブの児童や保護者たちにバッハなどの名曲11曲を披露した。

 ピアノは73年製。修復にあたったのは、あきる野市秋川の調律師大庭誠司さん(50)ら。金属疲労を起こした弦を取りかえ、ハンマーやペダルを調整、本体の箱の中も掃除した。作業には学校の夏休みを使い、8月いっぱいかかった。

 演奏した小田さんは、児童たちに「新しいのがすべて良いのではなく、使い込まれた楽器を手直しすると、こんな素晴らしい音になる。大事に使って」と語りかけた。

 6年の女子は「ボコボコしてさびた感じの音がなくなり、柔らかくなった。同じピアノじゃないみたい」と驚いた。

 調律した大庭さんらは7年ほど前から、都内の仕事仲間らとピアノ修復の技術研修会を開いてきた。「バイオリンは数百年と使い込まれて価値が出る。ピアノは、なぜか日本では工業製品扱い。使い捨てなんです」と嘆く。

 武蔵野小のピアノは、同タイプの新品を買うと200万円ほどになるが、修復は50万円ほどで済んだ。

 家庭や学校などのピアノは、製造後20〜30年程度で中古品として出され、流通せずに廃棄処分される例が多いという。「学校の先生や演奏家ですら、数十年で寿命になると思いこむ」と大庭さん。弦やハンマーのフェルトなどの消耗品を交換し、調整を繰り返せば、50〜100年は使えるという。

 廃棄されるピアノの中には、本体に響きの良い西洋ヒノキなどを使い、職人が丁寧に手を加えたものもある。そうしたピアノは年を重ねるうちに木が乾燥し、古くなるほど密度の高い音色に変化するという。

 再生ピアノのコンサートは、生まれ変わったピアノの良さをプロの演奏で味わってもらおうと、2年前から企画。これまでに地域の学校などで4回開催した。

 大庭さんらは現在、大正時代のピアノの再生に挑戦中。家庭に眠っているピアノの無料診断も行い、実費で修復にも応じている。問い合わせはアルテピアノコミュニティ(042・558・2229)へ。(9/29)

http://mytown.asahi.com/tama/news01.asp?kiji=2794