悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年09月27日(土) 00時00分

「医者は病気を見ても、病人は見ていない」といわれる。先端技… 東京新聞


 「医者は病気を見ても、病人は見ていない」といわれる。先端技術の特化で「木を見て森を見ざる」病院医療への嘆きは深い▼マニュアル片手に未熟な医師が「腹腔(ふっくう)鏡下手術」なる先端医療を試みて、患者を死にいたらしめた東京慈恵医大青戸病院の悲しい事故は、病人を見ていないどころか、何物にも替えがたい人命も眼中になかったといわれても仕方あるまい▼今までも、近親の者の納得のいかない死を病院医療の現場で見てきた人は少なくない。だが、生殺与奪の権をにぎる医者に抗して声を上げることは少なかった。ようやっと医療ミスへの厳しい追及が目を覚ましたようだ▼すでに十七−十八世紀の哲学者、ライプニッツの言葉として「偉大なドクターが偉大な将軍より多くの人々を殺すと、私はしばしば言ってきた」が伝えられている。十九世紀フランスの小説家、フローベールは『紋切型辞典』(岩波文庫)の「医者」の項目で「信頼されているうちは名医だが、仲違(たが)いすればたちまち藪(やぶ)医者にすぎなくなる」と書いている▼だが、今もむかしも「医は仁術(医は仁の術にして、人を救ふの教なり)」であることにかわりはない。あの皮肉屋の哲学者、ショーペンハウアーの言葉がしたわしい▼「医者にとっては人間は全く弱いものでなければならず、弁護士にとっては人間はえげつないものでなければならず、司祭にとっては人間は愚かなものでなければならない」(大修館書店『ドイツ名句事典』)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20030927/col_____hissen__000.shtml