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2003年09月26日(金) 03時02分

読者の新生児データ、広告主に提供 秋田魁新報社朝日新聞

 秋田県の日刊紙「秋田魁新報(あきたさきがけしんぽう)」が、新生児紹介の広告欄に応募した読者の詳しい住所などの個人情報を、無断で同欄の広告主に提供していたことが25日、わかった。今年5月に成立した個人情報保護法は、個人情報を同意を得ずに目的外に使用してはならないとしている。秋田魁新報社は情報流出を認め「配慮が足りなかった」としている。

 同社によると、流出したのは全面広告の「お誕生おめでとう」欄へ掲載を希望して寄せられた個人情報。少なくとも3、4年前から、秋田市内の写真店やカタログギフト店計5業者に流出していたことを確認したという。

 同欄は、86年ごろに始まり、毎月19日付で掲載。見開き2ページで、前月1カ月間に誕生した新生児と両親の名前、続き柄、住所の市町村名(県外者は県名)が紹介される。その周りに、写真店、カタログギフト店、神社、産婦人科医など20以上の広告が並ぶ。

 掲載を希望する人は、同欄にある申込用紙に▽新生児の名前▽生年月日▽両親の名前▽続き柄▽住所▽郵便番号▽電話番号を記入し、同社に応募する。

 今月は、272人の新生児を紹介した。このうち秋田市の男性(27)が情報流出に気づいた。

 男性によると、掲載された翌20日、同欄に広告が載っていたギフト店から、内祝い商品のカタログが自宅に届いた。男性は不審に思い、秋田魁新報社やギフト店に電話した。ギフト店は「広告を出す代わりに名簿をもらっている。口止めされていた。名簿をもらっているのはうちだけじゃない」と答えたという。

 19日付の同欄の広告主のうち、朝日新聞の取材に対して6社が名簿を受け取ったと話した。名簿は電子データと、印字した紙の2種類。掲載申込用紙に記入された情報のうち、電話番号を除いた、郵便番号や番地までの詳しい住所も記されていた。

 秋田魁新報社によると、同欄は同社広告局営業部が担当し、読者から寄せられた情報は確認、利用方法の説明などをしないまま、パソコンに入力して管理していた。秋田市内の広告主へは、市内の広告会社を介して提供。ほかの地区へは、総局や支局の営業部員が提供することが慣例化していたという。

 名簿提供を受けた広告主は「広告を出さないと名簿がもらえないから2〜3年ほど前から広告を出している」と話し、名簿提供が広告を出す交換条件のようになっていたことを示唆している。

 秋田魁新報社の中嶋道生・広告局長は「使用したはがきを処分する、あるいは情報の利用方法を読者に提示するなど、データ管理のためあらゆる対処法を考える」と説明している。

     ◇

<秋田魁新報社> 秋田市に本社を置き、秋田県内で朝夕刊を発行する新聞社。創刊は1874年。03年7月現在の販売部数は、同県内の日刊紙発行の6割を超す約26万5000部(日本ABC協会調べ)。02年の売上高は111億5000万円。従業員は約340人。社長は佐藤暢男氏。

(09/26 03:01)

http://www.asahi.com/national/update/0926/002.html