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2003年09月25日(木) 14時39分

客引き、巧妙化 宮城県ぼったくり禁止条例施行1年河北新報

 風俗店などの強引な客引きや法外な料金請求を禁じる「宮城県ぼったくり禁止条例」が施行されて1年がたった。これまで条例違反で11人が逮捕され、一時は効果が表れたように見えたが、指定地区の仙台市青葉区国分町では、店側があの手この手を使って摘発逃れを狙う巧妙な手口も目立ってきた。捜査の手が店に伸びないよう客引きと従業員契約を結ばなかったり、一見して客引きと分かる派手な服装を控えたり…。仙台中央署は「脱法行為は見逃さない」と巻き返しに乗り出す。(報道部・勅使河原奨治)

<店の特定が必要>
 8月下旬。国分町の路上で、男が客引きしているのを中央署員が確認した。そのまま客を店に連れて行くと思ったら、男は携帯電話で別の男を呼び出し、客を引き渡した。
 この予想外の展開に署員が対応を決めかねていると、呼び出しを受けた男と客は、客引きを残して夜の街に消えていった。

 後で分かったが、電話で呼ばれた男は風俗店の店長で、客引きから客を引き継いで自分の店に案内していた。条例では風俗店やキャバレーなど連れ込み先の店を特定しないと取り締まれない。客の引き渡しによって、客引きと店が直結しなくなり、摘発を見送らざるを得なかった。

<紹介料は出来高>
 客引きの男は店の従業員ではなく、特定の店と専属契約も結んでいない。客一人につき1000—2000円の紹介料を得る出来高契約を複数店と結んでいた。店にとっては、客引きのところで摘発を食い止めることができる可能性があるし、人件費を抑えるメリットもある。条例施行前には見られなかった契約形態だ。

 客引きの服装も、男女とも会社勤め風と比較的地味になった。客を誘っている姿は、遠目には職場の同僚が道端で話し込んでいる風に見えなくもない。

<「店ごと」が有効>
 客引きは昨年9月の条例施行直後には国分町から姿を消し、条例効果がてきめんに表れたが、徐々に復活し、今では条例前の悪い状態に戻りつつあるという。

 中央署は条例違反容疑でこれまで11人を逮捕し、2店舗を摘発した。今回のような巧妙な勧誘が行われていることを重視、さらに、表に出ない被害もあるとみており、警戒を強めていく。同署は「店ごと取り締まるのが最も有効だ」として、脱法行為を見抜いて店の摘発につなげる対策を取ることにしている。

<宮城県ぼったくり禁止条例>正式には「飲食店の不当勧誘、料金取り立て防止条例」。(1)実料金よりはるかに低い料金だと誤解させたり、架空のサービスをうたったりしての勧誘(2)客を取り囲むなどしての乱暴な料金取り立て(3)しつこい客引き—などを禁じる。指定地域は仙台市青葉区の国分町、一番町、大町、立町、中央の各繁華街、宮城野区のJR仙台駅東口周辺など。
 違反すると1年以下の懲役か100万円以下の罰金が科せられる。悪質な店には、県公安委員会が営業停止命令を出す。条例施行は昨年9月1日で、東京都、北海道などに続いて全国で6番目。
[河北新報 2003年09月25日](河北新報)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030925-00000010-khk-toh