2003年09月25日(木) 12時26分

＜医療事故＞慈恵医大青戸病院の医師３人を逮捕　警視庁（毎日新聞）

　東京慈恵会医科大学付属青戸病院（東京都葛飾区、落合和彦院長）で前立腺がん摘出の腹腔（ふっくう）鏡手術を受けた男性（当時６０歳）が死亡した事故で、警視庁捜査１課と亀有署は２５日午前、手術を担当した泌尿器科の医師３人を業務上過失致死容疑で逮捕し、同病院など数カ所を家宅捜索した。十分な技術がないままに手術をしたことが男性の死亡につながったと判断し、同課は同署に捜査本部を設置、手術に踏み切った経緯などを調べている。

　逮捕されたのは斑目旬（まだらめじゅん）（３８）＝品川区上大崎２▽長谷川太郎（３４）＝練馬区田柄４▽前田重孝（３２）＝杉並区阿佐谷北３＝の３容疑者。一部の容疑者は「手術は成功すると思っていた」と話しているという。また同科診療部長（５２）と麻酔部の３８歳と３０歳の医師２人の計３人を２６日、同容疑で書類送検する。

　調べでは、斑目容疑者は執刀医、長谷川、前田両容疑者は助手として昨年１１月８日、千葉県松戸市の男性に前立腺摘出の腹腔鏡手術をした際、止血や輸血が不十分だったため大量出血となり、低酸素脳症による脳死状態にさせ、同年１２月８日に死亡させた疑い。

　同病院でこの手術は初めてで、同課は経験のある指導医が立ち会うか、より容易な開腹手術をすべきだったとみている。斑目容疑者らはマニュアルを見たり、医療器具の使い方を業者に聞きながら手術を進めていた。手術を許可した診療部長は同年１０月、斑目容疑者らに「腹腔鏡手術をしたい」と相談された際、「熱意にほだされて許可した。危ないときは開腹に切り替えろと伝えた」と供述しているという。麻酔科の医師らは輸血の準備が不十分だった過失があるとみている。

　青戸病院はベッド数３９０床。同大はほかに特定機能病院の本院（港区）など５付属病院と４看護専門学校を運営している。【草野和彦、川辺康広、長谷川豊】（毎日新聞）

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030925-00001029-mai-soci