2003年09月25日(木) 13時21分

「トロン」とマイクロソフト和解、組み込みＯＳで協力（読売新聞）

　国産基本ソフト（ＯＳ）「トロン（ＴＲＯＮ）」の業界推進団体「Ｔ—エンジンフォーラム」（会長＝坂村健・東大教授）と、パソコン基本ソフト「ウィンドウズ」を持つ米マイクロソフトは２５日午前、都内のホテルで記者会見し、デジタルカメラやビデオカメラなどに組み込むＯＳとハード（機器）を組み合わせる共通基盤の共同開発で技術提携すると発表した。

　トロンとウィンドウズは長年、厳しい競争を繰り広げたライバル関係にあったが、パソコンやデジタル家電を通じてさまざまな情報をやりとりできる「ユビキタス社会」の到来に備え、“歴史的な和解”が必要と判断した。

　具体的には、同フォーラムが開発している情報機器向けの制御基盤である「Ｔーエンジン」、トロンをベースにしたＯＳと、マイクロソフトが情報機器に組み込むために開発したＯＳ「ウィンドウズＣＥ．ＮＥＴ」の３つを組み合わせて使えるようにする。

　両者は、１２月に共通基盤の試作機を日本で発表する予定だ。パソコン向けＯＳで圧倒的なシェア（市場占有率）を持つウィンドウズと、パソコン以外の情報機器や産業用機器で広く使われるトロンの利点を生かす。この共通基盤に用いれば、情報家電メーカーはＯＳや基盤を初めから開発する必要がなくなり、開発の期間やコストの削減につながる。

　◆トロン＝パソコンなどコンピューター機器を作動させる基本ソフトウエア（ＯＳ）の１つ。１９８０年代に教育用パソコンのＯＳを統一するため、坂村健・東大教授らのプロジェクトチームが開発した。現在はパソコンよりも携帯電話やファクスなど電子機器を動かすためのソフトとして使われている。（読売新聞）

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030925-00000104-yom-bus_all