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2003年09月25日(木) 13時16分

慈恵医大付属病院の医師ら3人逮捕 手術原因で患者死亡朝日新聞

 東京慈恵会医科大学付属青戸病院(東京都葛飾区、落合和彦病院長)で昨年11月、前立腺がん摘出のため、「腹腔(ふくこう)鏡手術」を受けた千葉県松戸市の男性(60)が1カ月後に死亡する事故があった。高度先進医療とされるこの手術法は難易度が高く、熟練した技術が求められるのに、未熟な医師が担当したことが原因とみて、警視庁は25日、執刀した泌尿器科の医師3人を業務上過失致死容疑で逮捕した。

 警視庁は25日午前から、同病院の病院長室などがある管理棟や、泌尿器科医局などを家宅捜索している。診療部長(52)と麻酔部の2人の医師の計3人についても同容疑で書類送検する。医療事故でこれほど多数の医師が立件されるのは極めて異例だ。

 逮捕されたのは、いずれも泌尿器科医師で手術チームのリーダーの斑目旬(38)=品川区上大崎2丁目=、長谷川太郎(34)=練馬区田柄4丁目=、前田重孝(32)=杉並区阿佐谷北3丁目=の3容疑者。調べに対し、3人は「手術は成功するだろうと思っていた。手術の結果、死亡したのは間違いない」などと話しているという。

 捜査1課の調べでは、男性は前立腺がんと診断され、昨年11月5日に入院し、同8日に患部を摘出するため、腹腔鏡手術を受けた。手術中に長時間の出血が続き、出血性ショック状態から心停止状態になり、低酸素脳症を発症して12月8日に死亡した。

 斑目容疑者ら6人は、「腹腔鏡下前立腺摘除」の手術に際し、この手術方法について安全に行う知識や技術、経験がなかった。技術が未熟なのにこの方法を採れば大量出血が起き、死亡する危険性があることを予見できたのに安全な開腹手術を避けて実行し、男性を死なせた疑い。

 手術は、腹部数カ所に円筒形の管を通し、この中に挿入した内視鏡のモニター画面を見ながら患部を摘出した。この際、静脈の止血が不十分で出血多量となったため、開腹手術に切り替えたが出血が続いたという。

 腹腔鏡手術を行う医師の要件について、日本内視鏡外科学会は(1)助手として10例以上(2)術者として指導者のもとで10例以上の経験を積んでいることなどを定めている。

 ところが警視庁の調べで、同病院の執刀医は助手としての経験が数度あるだけで、助手を務めた長谷川、前田の両容疑者は経験がまったくなかったことがわかった。

 逮捕された3人は、いずれも慈恵医大卒。斑目容疑者は卒業後13年、長谷川容疑者は8年、前田容疑者は6年目だった。

  【腹腔鏡手術】開腹せずに数カ所の小さな穴から内視鏡や手術器具を入れ、モニターを見ながら行う手術方法。前立腺摘出の場合、20センチ前後切り開く開腹手術に比べ、患者の体への負担が少ない。前立腺がん早期の患者は高齢者が多いことから、重用される一方、患部を直接見られないため、技術も必要とされる。(09/25 11:04)

http://www.asahi.com/national/update/0925/011.html