悪のニュース記事

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2003年09月24日(水) 00時00分

長期予報は辛いよ 東京新聞

 この夏の冷夏を予測できなかったと、気象庁の評判が悪い。半面、保険会社や銀行が数年前から売っている天候デリバティブという金融商品が再評価され、顧客増が期待されているという。

 天候デリバティブは天候保険に似るが、たとえば一定の気温に達しない日が契約期間中、何日か続けば実損にかかわらず約束のお金を払う。海の家の経営者などが買って、今夏当てた。

 気象庁は、春と秋の二回、それぞれ夏、冬に向けた長期予報を出して、暑さ、寒さの見通しを公表する。デリバティブ業界の担当者によると、商品の価格設定、つまり確率にこのような長期予報の見通しを反映させることはほとんどないという。過去の統計だけを手がかりにする。

 なぜなら、デリバティブは、天気ほか、金利、為替、株など先行きの読みが不透明な分野で成り立つ商品である。天気の予報が不確かであることも織り込み済みだからだ。

 昨冬は、暖冬予測がはずれて厳しい寒さの冬となった。その影響からか、インフルエンザワクチンが不足気味となり、灯油も在庫薄で冬の終わりには値上がりした。

 長期予報を信じて生産見通しを立てる人も結構いるのである。

 日本は気温など変化の多い海に囲まれ、観測点も十分置けないため、気象予測が難しい。ムリな予報はやめればいいようなものだが、気象庁は同業務法で気象予報が義務付けられている。辛(つら)い立場なのだ。

 同庁は、今秋の長期予報から、力学的手法という新方法を取り入れて当たる率の向上を図るという。デリバティブ業界に一矢報いられるか。(佐瀬守良)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/ronsetu/20030924/col_____ronsetu_000.shtml