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2003年09月24日(水) 00時00分

訴訟参加 認めて 被害者 富山でも署名の輪 『遺族人権も配慮を』 犯罪被害者の訴訟参加を求め、署名活動する被害者ら=富山市内で 司法関係者 一方的応報など危ぐ 東京新聞

 犯罪被害者が刑事訴訟への参加実現を目指す署名活動が全国に広がりを見せている。犯罪被害者保護法、改正刑訴法の成立など刑事司法制度見直しに加速がかかる一方で、「被害者の人権には配慮されていない」として、各地で被害者の権利を求め、署名活動を繰り広げる遺族ら。富山市で行われた署名活動を機会に現行の刑事司法について、遺族、司法関係者らから話を聞いた。(神野 光伸)

司法関係者 一方的応報など危ぐ

 今月十三日、富山市の中心商店街。富山県だけでなく、千葉、埼玉両県から犯罪被害者やボランティアら十七人が集まり、被害者の訴訟参加を求め、街頭署名活動を繰り広げた。被害者らは▽検察官だけではなく、犯罪被害者や遺族も加害者を起訴できる「私人訴追」▽被害者が希望し認められれば、法廷で被告に質問や、証拠調べを請求できる「公訴参加」−などの法整備を求めている。

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 マイクを片手に、県民に被害者の声を聞いてもらおうと盛んに声を張り上げる遺族ら。この日、署名は七百九十人分が集まった。被害者支援の自助グループ「小さな家」を運営する朝日町の大久保恵美子さん(55)は「まだまだ司法制度に関する県民の意識は低いが、県内でも犯罪被害に遭い、泣き寝入りする人ばかりではないことをPRしていきたい」と訴える。大久保さんは一九九〇年、息子を飲酒ひき逃げ事件で失った。「交通事故で息子を亡くしても、裁判では被害者に配慮した十分な結果にならなかった。法廷では被害者はただ、さくの向こうのやりとりをもどかしい思いで聞いているだけなのでしょうか」。

 犯罪被害者は、犯罪による直接的被害(第一次被害)として身体、精神、経済的な被害を受けるほか、刑事司法とかかわることでさらに被害(第二次被害)を受ける。

 現行の刑事司法について、県内の司法関係者は「被害者の人権は尊重するが、被害者が加害者に対し、一方的に応報するようなことがあってはならない。抽象論になってしまうが被害者、加害者の調和をはかることが重要だ」と強調する。また、別の司法関係者は「被害者と被告が同じ位置に立てば口論ばかりが続いてしまう危険がある。被害者が訴える訴訟参加の実現は難しいだろう」。

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 県警生活安全企画課によると、昨年一年間に寄せられた警察安全相談件数は一万五千八百二十九件。一昨年と比較すると、四百九十二件(3・2%)も増加した。

 このうち、大幅に増加した相談内容は、自転車などの放置(四百五十九件増)のほか、ヤミ金業者関係のトラブル(四百二十九件増)など。全国的に見て犯罪の少ない県とはいえ、ヤミ金融をめぐるトラブルなど都会から押し寄せる新手の犯罪被害にいつ県民が巻き込まれるか分からない。

 「全国犯罪被害者の会」の松村恒夫幹事は「いつ、どこで自分が被害者になるかもしれないという危機感が地方の人たちにもあるはず。一般の人たちも被害者の立場を少しでも理解してほしい」と話している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tym/20030924/lcl_____tym_____001.shtml