悪のニュース記事

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2003年09月18日(木) 00時00分

「容疑者はすごく落ち着いていた。殺気だったものは感じず、そ… 東京新聞


 「容疑者はすごく落ち着いていた。殺気だったものは感じず、それがかえって不気味だった」。名古屋市の立てこもり爆発事件で、人質になった人がこう語っている▼多くの人が見守るなか、白昼の突然の爆発は「静」の中から飛び出した「動」だった。容疑者は、まじめで、おとなしい人だった、という。「まじめなだけに、爆発したのではないか」ともいう。けれど、鬱積(うっせき)した不満が、ビル爆発という結果に至る落差はあまりにも大きい。だれしも「まさか」と思う▼容疑者は、平然とガソリンを床に流し、最後に人質を解放した後も、追加してまいている。当日、ガソリンスタンドで、ポリタンク八個分、百四十四リットルの油を購入していた。容疑者が押し入ってから、およそ三時間。警察は惨劇を食い止めることはできなかったのだろうか▼犯行の大胆さや結果の重大さに比べて、要求する金額が二十五万円とは、あまりにも落差が大きすぎる。狙いはもっとほかのところにあったのだろうか。会社「軽急便」への憤りのほどがいまひとつ分からない。事件の背景にあったトラブルの土壌は何であったのだろうか▼事前に大量のガソリンを購入するなど、犯行は計画的とみられるが、持ち込んだ二個分でもあれほどの爆発力があったのだから、犯意の大きさは想像できる▼立てこもり爆発事件の「静かな暴発」は、現代社会にひそむ不条理を照らし出した。「まさか」が「まさか」でなくなる社会の死角をつかれたように思えてならない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20030918/col_____hissen__000.shtml