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2003年09月17日(水) 14時46分

裁判員多いほど議論活発 模擬裁判で実証、本出版 九大生ら司法改革提言西日本新聞

 司法制度改革の柱である裁判員制度を使った模擬裁判を九州大法学部の教官と学生らが実施し、審理内容や参加者の感想をまとめた「裁判員が有罪、無罪を決める」(現代人文社)を出版した。同制度をめぐっては裁判員と裁判官の人数構成が焦点となっているが、同書は模擬裁判の結果から「裁判員の人数が多いほど、発言や議論が活発になる」として裁判員の増加を提言している。

 模擬裁判は、大出良知教授(刑事訴訟法)のゼミの学生三十人が二月に実施。福岡市と周辺町の選挙人名簿から無作為に選んだ百八十七人に依頼し、応じた十四人が裁判員を務めた。裁判官役は裁判官や検察官経験者を含む弁護士六人が担当した。

 題材は実際に起きた殺人事件。女性が交際していた男性の殺害を、知人の男性に依頼したとして殺人罪に問われたが、無罪を主張したとの想定。被告人質問や証人調べなども実際の法廷と同じように再現した。

 有罪、無罪を決める審理は、裁判官三人に対し、裁判員十人のAグループと、四人のBグループに分けて実施。結論はいずれも有罪だったが、審理中の発言回数は、Aグループは裁判官六十一回、裁判員百三十五回。Bグループは裁判官百十一回、裁判員五十八回で、裁判員の多い方が、活発に意見を交わし、積極的に審理に参加していた。

 参加者からは「事件の内容を理解するのに時間がかかる」「大量の証拠の詳細まで理解できない」などの感想が寄せられ、法律の素人が審理に参加する難しさも浮き彫りになった。

 被告人になった場合、新旧どちらの制度で裁かれたいかという質問には、市民六人が新制度と回答。現行制度としたのは二人だった。制度自体を「知らなかった」という人も六人いた。

 大出教授は「裁判に市民の社会常識を反映させるためには、裁判員制度をどう充実させるかが重要。裁判員の数を増やすとともに、裁判官が裁判員に発言を促すなど大切な役割を担う」と指摘している。

 A5判二百八ページ、千九百円(税別)。現代人文社=03(5379)0307。

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ワードBOX=裁判員制度

 選挙人名簿から無作為に選ばれて「裁判員」となり、刑事裁判の審理に参加。裁判官とともに有罪、無罪を判断し、量刑も決める制度。裁判官・裁判員の人数構成をめぐっては、法務・検察側は「裁判員の人数を多くすると内容の濃い議論ができない」として同数程度が適当と主張。日弁連などは「裁判員がプロと同数程度では主体的関与は困難になる」として「裁判員は裁判官の3倍以上に」と主張しており、結論は出ていない。政府は司法制度改革の関連法案を来年の通常国会に提出する方針。(西日本新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030917-00000071-nnp-kyu