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2003年09月12日(金) 16時08分

酒小売業界から700万円、「逆特区」法案提出議員に朝日新聞

 全国の酒店でつくる政治団体「全国小売酒販政治連盟」が昨年、酒類の小売り自由化を一部地域で凍結する緊急措置法案の提出議員ら与野党36人に対し、パーティー券購入などで約700万円を提供していたことが、12日付で公表された02年分の政治資金収支報告書でわかった。当初は今月から自由化の予定だったが、4月に法案が成立し、全国約1千カ所で新規出店ができない「逆特区」ができた。進出を計画していたスーパー・コンビニ業界から反発の声が出ている。

 緊急措置法は「酒類小売業者の経営改善等に関する緊急措置法」。昨年7月に議員立法で提案され、今年4月に成立した。

 酒店は人口あたりの店舗数などで規制されてきたが、規制緩和の流れの中で、政府は98年、段階的な規制廃止を決定。自由化を目指してコンビニや薬局などが出店の準備を進めてきたが、その矢先に同法が成立。経営が厳しい酒店が多い地域では1年間、新規出店ができなくなった。

 政治連盟の収支報告書によると、法案提出者8人のうち自民党の佐藤剛男衆院議員から30万円、田中和徳衆院議員から25万円、公明党の赤羽一嘉衆院議員から15万円のパーティー券を購入。佐藤議員への支出は前年ゼロ。田中、赤羽両議員も増えた。

 田中議員は「初当選時から業界とお付き合いしているが、献金と職務権限とは線引きをしている」。佐藤議員事務所は「(法案提出者として)認識を欠いた。今後は気をつけたい」と話した。

 政治連盟はまた、自民党の有志議員でつくる「日本経済を活性化し中小企業を育てる会」など、酒店の保護を主張する同党議員26人に対してもパーティー券購入などで総額約570万円を提供していた。

 最も多かったのは伊吹文明元労相の155万円で前年より10万円増。柳本卓治衆院議員には30万円で前年の5倍だった。

 自民党のほかには、民主党前代表の鳩山由紀夫衆院議員(30万円)や、同党の海江田万里衆院議員(20万円)、自由党幹事長の藤井裕久衆院議員(同)ら各党の有力議員5人への支出があった。

 緊急措置法の成立について、日本チェーンストア協会の渡辺紀征前会長は「価格競争が起きず、結局は生活者の利益を阻害しかねない」と憤る。

 一方、緊急避難をした業界だが低迷ぶりは深刻だ。全国小売酒販組合中央会によると、昨年9月からの半年間で、酒店経営者36人が自殺し、2380人が行方不明になった。転廃業は2万5000店を超えた。中央会幹部は「りそな銀行やダイエーが守られている。我々も守られる資格はある」と主張している。(09/12 16:08)

http://www.asahi.com/national/update/0912/028.html