悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年09月12日(金) 16時19分

学生名簿、無断で警察に開示 最高裁「不法行為」と認定朝日新聞

 中国の江沢民国家主席(当時)が98年に早稲田大学で講演した際、大学側が学生の同意を得ずに約1400人分の参加者名簿を警視庁に提出したことがプライバシーの侵害にあたるかどうかをめぐって争われた訴訟で、最高裁第二小法廷(滝井繁男裁判長)は「承諾を得ることは容易だったのに同意の手続きを取らず、無断で個人情報を開示した行為はプライバシーの侵害で不法行為にあたる」とする判断を示した。そのうえで学生側の損害賠償請求を退けた二審判決を破棄、審理を東京高裁に差し戻した。また、学生1人につき1万円の損害賠償を命じた別の二審判決は支持し、早大側の敗訴が確定した。

 第二小法廷は、プライバシー侵害の基準などの一般判断は示さなかったが、住所や氏名、講演会への参加の事実などは「秘匿される必要性が必ずしも高くないが、みだりに開示されたくないと考えるのは自然なことで、法的保護の対象になる」と判断。慎重な取り扱いがなされなかったとして損害賠償責任が生じると判断した。

 一方、5裁判官のうち、亀山継夫、梶谷玄の2裁判官は「警備の必要性があり、名簿提供には正当な理由があった。あらかじめ同意を得なかった点で配慮を欠く面があったとしても、社会通念上許される限度を逸脱した行為とまでは言えない」とする反対意見を述べた。

 この問題をめぐっては二つの訴訟が起こされ、二審の判断が分かれていた。二つのうちの一つは、会場で江主席が講演中に中国語で書かれた批判の横断幕を広げて「中国の核軍拡反対」などとヤジを飛ばすなどして建造物侵入容疑で警官に逮捕された学生3人(当時)が、その後、大学側から受けた譴責(けんせき)処分の無効確認や損害賠償などを求めていた。一、二審は学生側が敗訴し、名簿提供行為の是非についてのみ最高裁で審理の対象となった。

 もう一つは、学生6人が起こした損害賠償請求で、当初から名簿提供行為が争点。一審・東京地裁は01年4月、「学生に事前に知らせない名簿の提出は不適切だったが要人の警備のため必要で許容される範囲内」として違法性を否定したが、二審・東京高裁は02年1月、「学生の同意がなく違法」として大学側に6万円の支払いを命じた。

(09/12 16:19)

http://www.asahi.com/national/update/0912/030.html