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2003年09月11日(木) 12時54分

テロ防止で乗客の個人情報提供 米要求に欧州反発朝日新聞

 欧州発米国行きの航空機の乗客について、「テロ防止のため個人情報を提供してほしい」という米国と、欧州との間で不協和音が高まっている。欧州連合(EU)は9・11テロ事件以降、提供に協力してきた。だが、米側の求める提供範囲は氏名、電話番号はもちろん、クレジットカードの番号から好みの料理にまで及んでおり、「歯止めがなければ乱用される恐れがある」としている。

 乗客の情報提供については今年3月、航空会社に乗客データの提供を義務づける法律が米国で施行された。

 EU欧州委員会はこれに合わせて、▽航空機の離陸後すぐに航空会社が乗客情報を米側に通報する▽米当局は約7年間、個人情報を蓄積し、利用できる——などの暫定的な枠組みで合意した。

 その後、本協定に向けた交渉が始まったが、欧州議会や各国から「暫定合意はEU個人データ保護法に違反する」との声が上がった。

 米国との交渉を担当するボルケスタイン欧州委員は今月9日の欧州議会で、計39種類の情報を米側が要求していると明かした。英紙によると、乗客が航空会社に伝える好みの料理や米国内での宿泊地、連絡先、本人特定のためのデータも含まれるという。

 米側は情報利用期間をさらに長くすることも求めているといい、同委員は「テロとの戦いは必要だが、国土を守るためのアプローチは米国と異なる」と苦言を呈した。

 同委員はまた、情報提供を拒んだ場合、米国に着いた乗客への長時間の事情聴取や、航空会社への罰金、着陸権の剥奪(はくだつ)が予想されるとし、「二つの法制度のギャップを埋めるには2国間合意を得るしかない」と述べた。今後、乱用防止のため、蓄積情報へのアクセスの保証などを米側に求める考えだ。

 一方、米側は、イタリアを6日に訪問した米国土安全保障省のトム・リッジ長官が「欧州の抵抗は反テロ戦の足を引っ張る」とEUを批判。健康や宗教に関する情報は求めないが、住所や出生地は欠かせないとした。

 さらに「乗客のプライバシー保護は、安全に旅行する権利と釣り合いが取れなくてはならない」と述べ、溝の深さをうかがわせた。

 欧米間の大西洋路線は年間1千万人前後が往来する。次の交渉は22日にブリュッセルで行われる。(09/11 12:54)

http://www.asahi.com/international/update/0911/012.html