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2003年09月11日(木) 00時00分

スカイマーク運休で県内に波紋東奥日報

 スカイマークエアラインズ(本社東京、井上雅之社長)が九日発表した青森−東京線の十一月限りでの運休が、県内に波紋を広げている。同社の厳しい経営環境が背景にあるとはいえ、就航から百三十八日目での決断に、公共交通機関としての存在意義を問う声も出ている。競合社に対する最大の武器である低価格を、県民に十分浸透させることができないまま、本県の「第二の翼」は間もなく姿を消す。

 運休の発表は、県にとっても寝耳に水だった。県は今月四日、関格企画振興部次長らを同社に派遣し、ダイヤや予約方法の改善を申し入れたばかりだった。「本来ならもっと前に連絡するべきだったが、今回はできない事情があった」と同社社長室は釈明する。

 同線運休は八十五億円に上る同社の債務超過解消策の一環だった。九日の発表の目玉は総額四十五億円の第三者割当増資で、事前に情報が漏れないよう万全を期す必要があった−という。

 スカイマークは四月二十五日の就航時、競合社を約五千円下回る一万五千円に実勢価格を設定したが、大型連休中の搭乗率は37%にとどまった。五月から七月にかけては一万二千九百円という夜行高速バスに匹敵する価格を打ち出したが、搭乗率は六月35%、七月40%と低迷し、同時に開設した徳島−東京線の50%、53%に水を開けられた。

 なぜ利用がこれほど伸び悩んだのか。両線はともにスカイマークが一日二往復運航しているが、徳島線では競合社は四往復体制。だが青森線では競合社が六往復運航し、利便性に差があった。また青森線では、同社の低価格が十分浸透していなかったのも事実だ。

 週に一度は本県を訪れる東京都在住の私大助教授(41)は「スカイマーク参入は知っていたが、往復で競合社より一万円以上安いとは知らなかった」と悔やむ。また上京の際は夜行高速バスを愛用しているという女性会社員(26)は「一万二千九百円で飛行機に乗れるとは思わなかった」と話す。

 市内の大手旅行代理店は「スカイマークは市街地に拠点を置かず、インターネットや電話予約を柱にしていたが、利用者からは不便だという声が上がっていた」と指摘し、対面販売や窓口を増やす方向での販売促進が有効だったと分析する。

 だが県内のスカイマーク社員は一人だけで、顧客の掘り起こしは思うに任せなかった。さらにはダイヤ改善へ向けての競合社との調整も不調に終わった。

 国土交通省の調べでは、青森−東京線の二〇〇二年度の利用者は約九十七万人で、東京以東の本州の空港を発着する路線では最も多い。

 同省航空事業課は、この路線が九年ぶりに単独運航に戻る事態にも「参入、撤退は各社の判断」と静観の構えだが、航空業界では「青森−東京線は、二社乗り入れ(ダブルトラッキング)が妥当だ」という見方が一般的だ。とはいえ、同線は全日空が四月に撤退したばかり。スカイマーク運休後の行方は、まだ霧に包まれている。(政経部・櫛引素夫)

http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2003/0911/nto0911_3.html