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2003年09月10日(水) 00時00分

裁判員制度 カギは国民への信頼 東京新聞

 裁判員制度の創設は、一般の国民が真にこの国の主人公になる一里塚である。“専門家任せ”から脱却するために、国民を信頼して、国際的にも恥ずかしくないシステムを築かなければならない。

 司法制度改革推進本部の裁判員制度・刑事検討会は、十一、十二の両日、裁判員制度の設計について集中審議する。裁判員を有権者から無作為抽出で選ぶことには委員の間で異論がないので、当面の焦点は裁判官と裁判員の構成比である。

 最高裁などが主張する三対二、ないしは三対三のいわゆるコンパクト型から、各界各層の有識者で組織する司法改革国民会議の一対十一という提案まで大きな開きがある。自民党内では裁判員六人説を中心に議論が進んでいる。

 最高裁などと違い、なるべく多くの国民の参加を求める自民党の姿勢は評価できる。だが、多様な国民意識を裁判に反映させるという目的に照らすとまだ中途半端だ。

 米国の陪審員は原則十二人、裁判員制度に似た参審制度の欧州各国でも参審員は裁判官の数倍である。

 一部論者のように、法律の素人である国民をできるだけ少なくする考えは、国民を信頼せず、これまでの専門家主導の裁判を良しとするからではないか。裁判官に足りない部分を裁判員が補完するのではなく、両者が対等な立場で協働して裁判する裁判員制度の意義を確認したい。

 注目されるのは、最近、自民党の内部で急浮上した裁判官二人説だ。現在、法定刑が一定基準以上の事件は三人の裁判官で裁判していることから「重大事件」を扱う裁判員制度でも裁判官は当然三人、と考えられてきた。

 しかし、裁判員制は新システムである。既存の制度を下敷きにせず、新たな発想で臨むべきだ。裁判官二人でも、裁判員が加われば、判断者は現在の三人よりはるかに多く、調和ある結論が期待できる。

 今度の司法改革は、日本の司法を国際標準に近づける意味もある。国際的に恥ずかしくない改革になるかどうかは、国民を信頼した制度が生まれるかどうかにかかっている。

 他に検討対象となっている裁判員の守秘義務、報道規制も同じことが言える。最低限のルールは必要だろうが、法で細かくしばらなくても、裁判員も報道機関もやってはいけないことは理解できるはずだ。

 検討会委員のほとんどは法律専門家である。まず、そのことを自戒し、「非専門家である国民に対する信頼」を基本に議論してほしい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030910/col_____sha_____002.shtml