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2003年09月09日(火) 19時14分

和光食糧、悪質だった偽装表示−−県の立ち入り検査後も、前社長ら続ける /福島毎日新聞

 県から業務改善の指示を受けていた郡山市の米穀販売会社「和光食糧」に捜査のメスが入った。郡山署は8日、同社前社長の増子英明容疑者(52)と、その指示を受けた橋本英雄容疑者(55)を不正競争防止法(虚偽表示)違反の疑いで逮捕したが、同社は2月の県の立ち入り検査の後も虚偽表示を続けていた。誇りをもってコメ作りに取り組む生産者をあざむき、国産米のブランドを傷付け、検証手段のない消費者の弱みにつけ込む悪質な偽装表示のコメが出回る事件の背景を探った。【太田穣、町田徳丈】
 ◇県経済連、信頼低下を懸念
 ■値引きに応じて
 同署は今年3月7日に同社事務所を家宅捜索して関係帳簿を押収、コメをDNA鑑定した結果、混ぜられたコメは米国産と断定した。両容疑者は「販売元の値引き要請に応じるため」と釈明しており国産と米国産の混米比率は1対1だった。
 関係者によると、米国産コシヒカリの仕入れ値は1キロ約250円。一方、01〜02年の会津産コシヒカリの精米後の平均価格は1キロ約320円で、仕入れの段階で1キロあたり70円程度の価格差があった。同署は、この価格差で値引きに応じたり、相当額の不当な利益を得ていたとみて同社を調べている。不正競争防止法には法人処罰の規定もあり、同署は9日にも同社を書類送検する方針だ。
 ■業務用感覚で売買
 増子容疑者は大学卒業後の73年、地元の米穀卸販売会社に入り、キャリアを積んだ。90年に退社し、親族名義の休眠会社を「和光食糧」に商号変更して自ら米穀販売を開始。その後、かつて同僚だった橋本容疑者を営業部門の責任者に招いた。
 県農産物安全グループによると、一般消費者が購入する商品にはJAS(日本農林規格)法に基づく表示が義務付けられている。しかし、業務用は業者間の話し合いで決まり、表示義務はない。同署の調べでは、増子容疑者は小売り用のコメも業務用と同じような感覚で扱い、93年ごろから偽装表示を続けていたらしい。
 ■検査の壁
 繰り返される偽装表示。県や農水省は立ち入り検査ができるが、「相当確度の高い情報でなければ立ち入り検査に踏み込めない」(県農産物安全グループ)。県による抜き打ち検査は「営業妨害になる恐れがある」(同グループ)として、行われていない。同グループによると、コメの小売業者は県内に1519社あり、「すべてを監視することは難しい」と話す。
 ■偽装防止
 農水省は01年度から全国の小売店を無作為に選んでコメを買い上げ、DNA鑑定を進めている。東北農政局福島農政事務所は「DNA鑑定以前は表示とは違ったコメを混ぜていたとも聞いたが、鑑定後は改善されている」と説明する。
 02年7月にはJAS法が一部改正され、従来は指導に従わない場合に社名を公表していたが、改正後は行政が指導した時点で社名を公表できるようになった。
 DNA鑑定は自治体が独自に実施している例もあり、県は導入を検討している。
 ■現社長が「おわび」
 同社と取引実績のあった県経済連は「福島のコメ全体への信頼低下につながりかねない」と危惧(きぐ)し、県流通消費グループは「とんでもないことで非常に残念」と話した。
 一方、夫の前社長らの逮捕について同社の増子澄子社長は「消費者、生産者の皆さまに心からおわびする。逮捕という事態を厳粛に受け止め、さらに改善を進めたい」とのおわびを発表した。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030909-00000001-mai-l07