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2003年09月09日(火) 03時16分

2乳児死亡の医療機器不具合、医師ら9人書類送検へ読売新聞

 東京都立豊島病院(板橋区)で2000年と2001年、人工呼吸に使われた2つの医療機器の接続不具合から乳児2人が死亡した事故で、医療機器販売会社幹部と同病院の医師らが危険性の周知徹底や使用時の安全確認を怠ったことが事故につながったとして、警視庁捜査1課は8日、医療機器販売会社幹部と医師、看護師ら計9人を、業務上過失致死容疑で東京地検に書類送検する方針を固めた。

 警視庁によると、国内で起きた医療事故で、医療機器の会社関係者が刑事責任を問われた例はない。

 送検されるのは、同病院小児科の男性医師(39)ら医師3人と看護師2人、医療機器製造販売会社「アコマ医科工業」(文京区)の社長(44)ら役員2人、医療機器輸入販売会社「タイコヘルスケアジャパン」(世田谷区)の幹部2人の計9人。

 事故は2000年8月と2001年3月に相次いで発生。どちらの事故も、アコマ社の「ジャクソンリース回路」と、タイコ社(当時はマリンクロットジャパン社)の「気管切開チューブ」を接続して人工呼吸を行っていた際に、2つの医療機器が不具合を起こし、第1の事故では生後10か月の男児が、第2の事故では生後3か月の男児が死亡した。

 調べによると、アコマ、タイコ両社の幹部らは、不具合が生じる危険性を知っていたにもかかわらず、機器の設計変更や使用説明書に警告文を書き加えるなどの十分な安全対策を怠った疑い。さらに、第1の事故では同病院の看護師2人が、第2の事故では同病院の男性医師ら3人が、機器を使用する前の点検や、人工呼吸中の男児の呼吸状態などを確認せず、2人を死亡させた疑い。

 これまでの調べで、1997年からの2年間で、ジャクソンリース回路と、気管切開チューブと似た接合部を持つ機器との不具合事故が計5件判明。最初の4件は、事故が起きた病院から、両社か厚生省(現厚生労働省)に報告されていたことがわかった。

 警視庁は、こうした情報がありながら、死亡事故が防げなかった点を重視。昨年4月にはタイコ社を捜索、病院、販売会社2社の過失について捜査し、同省にも「行政の不作為」がなかったかどうか担当者から事情を聞いてきた。

 しかし、同省に報告された事故は、接合部の構造が同じだったものの、組み合わせが違っていたことなどから、行政が事故を予見するのは難しく、責任は問えないと判断。最終的に、医師、看護師、医療機器販売会社2社による複合過失が原因と結論付けた。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030909-00000201-yom-soci