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2003年09月09日(火) 12時11分

人工呼吸中の2児死亡、医師や看護士ら9人を書類送検朝日新聞

 東京都立豊島病院(板橋区)で00年11月と01年3月、人工呼吸中に乳児2人が死亡した事故で、警視庁は9日、同病院の医師と看護師、人工呼吸に使った器具の製造会社と輸入会社の幹部ら計9人を業務上過失致死容疑で書類送検した。乳児2人は、2種類の器具の接続不具合が原因で呼吸困難になって死亡したとみられる。警視庁は、医師らが器具を接続した際に安全確認を怠ったことと、両社が器具の危険性を知りながら対策を取らなかったことが重なり事故につながったと判断した。

 書類送検されたのは、豊島病院小児科の男性医師(39)ら医師3人と女性看護師2人、文京区の医療器具製造会社「アコマ医科工業」の事故当時の専務(44)ら役員2人、世田谷区の医療器具輸入販売会社「タイコヘルスケアジャパン」(旧マリンクロットジャパン)の幹部2人の計9人。

 最初の事故は00年11月1日、生後11カ月の男児が呼吸困難になり4時間後に緊張性気胸で死亡した。2件目は01年3月13日、生後3カ月の男児が呼吸困難になり、同24日に多臓器不全で死亡した。いずれも、アコマ社製の小児用麻酔器具「ジャクソンリース回路」と、タイコ社が輸入した「気管切開チューブ」を接続し、人工呼吸をしていた。

 捜査1課の調べで、2つの器具をつなぐと構造上、内筒同士が密着してしまい、一方的に酸素が送られるだけで、二酸化炭素を排気できなくなることが分かった。この結果、男児2人は低酸素状態になったという。

 器具は、最初の事故では看護師2人が、2度目の事故では医師3人が接続していた。5人は、器具を接続した際に患者の呼吸状態に注意し、器具内の換気が正常にされているかを確認するなどの安全確認を怠った疑いがある。

 97年に愛媛大医学部付属病院で、アコマ社とタイコ社の両社の器具の接続不具合が原因で患者が呼吸困難になった事例が2件あり、担当医師は両社に通報していた。しかし両社は、薬事法に定められた厚生省(当時)への報告を怠ったうえ、製品の回収や改良などの適切な対応を取らなかった疑いがあると捜査1課はみている。

 都立豊島病院を管轄する都病院経営本部は「改めて患者さんのご冥福を祈るとともに、遺族にお悔やみ申し上げる。今後一層予防に努め、都民の皆様からの信頼に応えられるよう全力をあげていきたい」との談話を出した。(09/09 12:11)

http://www.asahi.com/national/update/0909/017.html