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親族を装ってお年寄りから金をだまし取る「オレオレ詐欺」の疑いで８月に逮捕された東京都足立区の無職男が、６日までの警視庁の調べに「東京と埼玉、千葉の１都２県で、１００人近い高齢者から２０００万円ほど手に入れた」と供述していたことがわかった。最近頻発している、銀行に金を振り込ませる方法ではなく、直接金を受け取る「古典的」な寸借詐欺のような手口だったという。
女性に的を絞って借金を申し込み、電話をかける時間帯や要求金額を限定するなどの方法で数年間、詐欺だけで生計を立てていたという。
庄内光明容疑者（４１）で、本所署の調べでは５月２６日午後１時半ごろ、葛飾区内の女性（８７）に孫を装って電話し、「月末に返すから貸してほしい」と話して２０万円をだまし取った疑いが持たれている。
本所署が自宅を家宅捜索したところ、東京、埼玉、千葉の電話帳が段ボール箱２箱分見つかった。ＮＴＴからもらってきては、高齢者と思える女性の名前に当たりを付け、もっぱら午前中に電話をかけていた。
調べに「家族が出掛けて、高齢者が１人でいる可能性が高いから」と話したという。
５、６年前に詐欺や盗みの手口を紹介した本を読むうちに、「甲高い声を出せば、若い男とごまかせるのでは」と思いついた。相手によって声色を変えて孫や子と信じ込ませた後、「生活費に困っている」「利子を付けて返すから」と無心。要求額は２０万〜３０万円程度で、高齢者が蓄えから出せそうな金額に抑えた。
銀行口座に振り込ませることはなく、「他の者を取りに行かせる」として、毎回必ず自分で出向いて金を受け取っていた。
数年前までは日雇い労働などをしていたが、最近は職についた形跡がない。１人で暮らしていた。本所署は「月１度の割で『オレオレ詐欺』をやり、生活費を得ていたようだ」とみている。
オレオレ詐欺は、警視庁捜査２課の調べでは、今年３月から８月までに東京都内だけで約６００件あった。被害総額は３億６０００万円を超えている。同課はこれまでに、２グループの１８人を逮捕しているが、庄内容疑者は単独だったという。(09/06 15:53)