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2003年09月06日(土) 00時00分

社説2 なぜか冷夏に弱い天気予報日経新聞



 有力選手でも不振が続けば、チーム内に不信が広がる。不振から不信への転落にそう時間はかからない。「外れ」が目立つこの夏の天気予報についても、9月に入ってから、冷夏への恨みつらみも手伝って、気象庁や予報システムへの批判や不信の声が、噴き出しはじめている。

 まずは、この夏の天気予報は本当に「外れっぱなし」だったのか、客観的に検証する必要がある。いわゆる長期予報、3カ月予報に関する限り、全くの外れといっていい。6月の末にそれまでの予報を修正して、わざわざ「暑い夏」を強調した。これが、予報不信をまねく決定的な原因となったのは間違いない。

 短期予報では、人間活動のサイクルとマッチした週間予報の「適中率」を気象庁が試算している。東京では8月はほぼ平年並みで、むしろ6、7月の方が的中率が低いという結果が出た。東日本で予報が当たらないと厳しく非難されたのは、8月のお盆とお盆明けのころで、世間の印象と実態が少しずれている。

 7月の長雨・曇天続きにじっと耐えていた人々が、ひたすら好天への期待を託したお盆休みに、「晴れ」の予報が「雨」続き……。いちばん悪いときに、悪い方向で予報が外れた。雨の予報が外れて晴天になったのなら、これほどの不信は呼ばなかったといえるかもしれない。

 気象庁の調べでは、この間の在京テレビ局の週間予報も、気象庁と大きな違いはなかったという。気象情報は一応自由化したが、的中率という品質の競争にはまだ遠い。

 長期予報も週間予報も、いまは膨大な数値をコンピューターで処理する数値予報が基礎になっている。コンピューターがはじき出した幾通りもの可能性を、予報官が頭脳と経験によって選択し組み立てる、アンサンブル予報が現在の主流である。

 入力する観測情報の密度を高くすることで、予報の的中率はゆるやかに上昇している。ただ、冷夏の年には的中率が極端に低下する。1993年、98年、そしてたぶん間違いなく今年、2003年。地球の温暖化のような巨大な気候異変に、解析のシステムは対応できているのだろうか。天気予報が冷夏に弱いのには、何か構造的な原因があるはずだ。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20030906MS3M0601806092003.html