悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年09月06日(土) 14時39分

素人裁判員へのアピール狙い、検事に「話し方教室」読売新聞

 国民が刑事裁判に参加する裁判員制度の導入をにらみ、法務・検察当局が、公判に臨む検事の能力向上を目指している。全国の若手検事を対象とした研修に元アナウンサーを講師として招き、話し方のイロハから学ばせているほか、研修科目に、模擬法廷を使った証人尋問演習を初めて取り入れた。

 新制度では素人の裁判員にどこまで立証内容をアピールできるかが勝負所となるだけに、「若いうちにわかりやすい尋問の基礎を身につけてもらえれば」と法務省幹部は話している。

 従来の裁判は、被告の供述調書など膨大な証拠書類が法廷に提出され、裁判官がそれを読みこんだ上で判断するケースが大半だった。このため、検事には公判での尋問技術より取り調べや調書作成の能力が求められる傾向があり、若手検事の研修でも公判対策は重視されてこなかった。その結果、「小声で聞き取りにくい」など公判検事に対する苦情が検察庁に寄せられることも少なくなかった。

 しかし、裁判員制度の下では、一般国民から選ばれた裁判員は、調書からではなく、法廷でのやりとりから有罪、無罪を判断することになる。そこで、法務・検察当局も「調書中心」から「公判重視」に方針転換し、検事の育成に乗り出すことになった。

 元アナウンサーによる話し方講習は今年7月、任官7年目の検事の研修で初めて実施された。裁判員が聞いただけでわかるような話し方を身につけさせるため、講習で学ぶのはテレビではなくラジオニュースの話し方。「冒頭でまず手短なポイントを示す」「相手の注意力が持続する2、3分の間に伝える」——。話し方のノウハウを約3時間にわたり、講師からみっちり教わった。

 証人尋問演習は今月行われる任官3年目の検事の研修からスタートする。演習場所は、千葉県浦安市の研修施設に今年完成した本物そっくりの模擬法廷。研修生1人ひとりが過去の刑事事件を題材に証人尋問を行う。演習後は、弁護士役や証人役のベテラン検事から、尋問の組み立てなどについて1人ずつ問題点を指摘されるほか、尋問風景を撮影したビデオテープを手渡され、復習を義務づけられるという。

 また、研修生同士が初任地などで担当した公判でどのような尋問をしたかを報告し合う事例研究会も、行われている。

 このほかにも、法務・検察当局は、公判充実に向けた研究に取り組んでおり、今年春には、公判担当検事らが、軍事法廷で陪審裁判が行われている神奈川県の米軍横須賀基地を訪問。検事役となる軍人が受けている研修などを見学した。尋問方法に関する英文のテキストを持ち帰って翻訳し、今後の研修などに生かす方針だという。

 (読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030906-00000204-yom-soci