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2003年09月06日(土) 14時39分

「花粉症緩和米」厚労省が認めず読売新聞

 農水省関連の研究機関が商業化を目指している遺伝子組み換えの「花粉症緩和米」について、厚生労働省はこのほど、「食品としては認められない」との考えを示した。

 スギ花粉症の原因となる物質を含むこの米が、アレルギーのもとになる物質を含まないという組み換え食品の安全性審査基準に触れるためだ。農水省はさらに研究を進めるとしているが、遺伝子組み換え食品の開発のあり方をめぐり問題になりそうだ。

 花粉症緩和米は、独立行政法人農業生物資源研究所(茨城県つくば市)などが2000年から開発を進めてきた。スギ花粉症アレルギーの原因となるたんぱく質を作り出す遺伝子を人工的に作り、イネに組み込んだ。

 花粉症の治療には、アレルギーの原因となる物質を少しずつ注射して症状を緩和する減感作療法が行われている。緩和米は、注射の代わりにアレルギー原因物質を含んだ米を食べることで同様の効果を狙ったもの。

 同研究所では、研究施設内で栽培した米を、マウスに食べさせて実験を行い、実際にスギ花粉症緩和効果があることを確認した。こうした消費者へのメリットをうたった遺伝子組み換え植物は、「第2世代」と言われる。同省では先端技術の実用化支援のため、来年度予算で概算要求した45億8000万円の中で、目玉と位置づけていた。

 しかし、厚生労働省が2000年5月に決めた遺伝子組み換え食品の安全性審査基準では、組み込んだ遺伝子が作るたんぱく質がすでに知られているアレルギーの原因物質と同様の構造を持っている場合には、「食品として認められない」ことになっている。

 多くの人が口にする食品では、食べてアレルギーにならないかどうかが大きなポイントになる。この米が流通の段階で普通の米に混ざったり、遺伝子組み換えイネの花粉が、一般のイネと交配したりして、花粉症ではない人が、花粉症の原因となる物質を口にする可能性もある。「治療効果を持たせるためとはいえ、あえてアレルギーの原因となる物質を入れている食品が認められるわけがない。国際的な遺伝子組み換え食品の安全基準にも合わない」と同省新開発食品保健対策室は説明する。

 これに対し、農業生物資源研究所の研究者は「安価で効果のある食べるワクチンは社会に有用。今までにない新しいものを、現行の基準に照らして門前払いするというのは納得がいかない」と話しており、農水省も「安全性はもちろん、栽培、流通の仕組みなど実用化に向け様々な研究を重ねるしかない」との姿勢を見せている。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030906-00000006-yom-soci