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2003年09月06日(土) 22時54分

薬効かないHIV、国内で拡大 厚労省が対策に乗り出す朝日新聞

 発症を抑えるための薬が効かないエイズウイルス(薬剤耐性HIV)が国内でも広がっていることが分かり、厚生労働省の研究班による対策会議は6日、対策の柱を決めた。発生状況の把握▽検査態勢の整備と精度向上▽感染者の中途半端な服薬を防ぐための支援▽適切な薬を医師が選べるようにする指針作りの4項目が中心になる。厚労省は来年度から、約1億円を出して耐性対策を具体化させる。

 HIVは完全に消滅させることはできないが、ウイルスの増殖を抑えることで、エイズの発症を遅らせることができる。日本には現在、抗ウイルス薬が20種類近くあり、97年以降、3、4種類を同時にのむ多剤併用療法が治療の主流になっている。

 この療法により、感染者の死亡率は大幅に低下したが、薬剤耐性HIVが広まれば、治療が困難になる恐れがある。

 薬剤耐性HIVは治療中の感染者の体内で突然変異により生まれ、薬ののみ忘れなどで増える。欧米ではすでに新規感染者の1〜2割が耐性ウイルスを持っているとみられ、問題化している。

 日本でも数年前から特定の薬が効かず、薬の選択に行き詰まる例が出てきた。この8月、全国14のHIV治療ブロック拠点病院を対象にした調査では、約半数の病院が「耐性ウイルスは増えていると思う」と答えた。

 薬剤耐性HIVは治療前の感染者からも見つかり始めている。国立国際医療センター(東京)が01年と02年に治療前の感染者138人でウイルスの遺伝子を調べたところ、4%から薬剤耐性を引き起こすと見られる変異が見つかった。

 耐性検査は健康保険が適用されず、治療効果が上がらないときに医師が任意で実施している状態。検査精度にもばらつきがあり、検査数が増えれば対応できなくなる恐れがある。

 このため、国立感染症研究所エイズ研究センターの杉浦亙・第2研究グループ長が中心になり、この8月、医師や看護師、患者らで対策作りを検討してきた。

 日本のHIV感染報告者は1万人近くに上り、ここ2年間、毎年約600人ずつ増えている。現在、約4000人の感染者が治療を受けている。国のエイズ対策予算は年間約100億円。

(09/06 22:41)

http://www.asahi.com/national/update/0906/026.html