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2003年09月06日(土) 00時00分

犯罪閣僚会議 安心を取り戻したい 東京新聞

 犯罪対策閣僚会議の初会合が開かれた。治安悪化が深刻化する中、政府が本腰を入れての治安対策への取り組みだ。犯罪を減らし安心できる社会を取り戻すために国民の協力も欠かせない。

 小泉純一郎首相は「凶悪犯罪、少年犯罪が多発しており、世界一安全な国といえる状況ではない」と指摘し、「国民の信頼回復のため国を挙げて取り組みたい」と強調した。

 犯罪対策閣僚会議には、すべての閣僚が参加している。各省庁の縦割り行政を超えて犯罪防止に全力で取り組むよう期待したい。

 日本の社会から「安全神話」が消えて久しい。刑法犯罪件数は昨年約二百八十五万件と七年連続で戦後最多を更新した。検挙率でみると一九八五年に64・2%と国際的にも高水準だったが、昨年は20・8%と過去最低になっている。

 今年に入り長崎市の少年による幼児殺害事件や、中国人容疑者が絡む福岡市一家殺害事件など、特異な犯罪が起きている。マンションなどの施錠を壊して侵入するピッキング盗も後を絶たない。日常生活の中に治安への不安が広がっている。

 閣僚会議は年内に「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」を作成する方針だ。(1)水際対策をはじめとする犯罪対策の強化(2)犯罪の生じにくい社会環境の整備(3)国民が自らの安全を確保するための活動支援−を柱としている。

 水際対策は、急増している外国人犯罪を念頭に置いたものだ。今年一−六月の来日外国人犯罪は一万八千五百七十九件で前年と比べて20・5%も増加し、中国人が七千四百四十九件と最も多い。

 国外へ逃亡した犯罪者の身柄引き渡しについては、日本は韓国と昨年四月に条約を結んだが、中国とはまだだ。次善の策として代わって犯人を処罰する「代理処罰」制度などの捜査協力を進めているが、閣僚会議設置を機に条約締結を促進したい。

 ただ、短絡的に来日外国人を敵視するような風潮を増長しないよう注意する必要がある。

 警察庁は、来年度予算の概算要求で地方警察官の増員を挙げているが、地域社会の犯罪防止と犯罪摘発のため警察官の効率的な配備が不可欠だ。

 警察任せではなく地域社会挙げての犯罪対策も必要だ。特に青少年への目配りなど地域住民の協力なくしては十分でない。

 「犯罪は社会の鏡」という。景気の低迷や政治不信が社会の混乱、犯罪を招く。政府はその点も念頭に置いてほしい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030906/col_____sha_____002.shtml