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2003年09月06日(土) 00時00分

受け継いだ“神様”の腕 古いバイクを直し続ける 鈴木 利克さん(39) 東京新聞

 宣伝してもいないのに「修理して」と古いカワサキ製のバイクを持ち込む客が絶えない。質素な店構えは目立たないが、客たちは口コミでこの店の主人の腕の確かさを聞きつけて訪ねてくる。

 宇都宮市元今泉のオートバイ修理店「グリーンサービス」。

 「これのおかげなんですよ」。主人の鈴木利克さん(39)は、店内の壁に掲げた「KITAMI」の文字入りの緑の看板を指さして笑った。

    ◇

 ■宣伝ゼロ それでも集まるカワサキ・マニア

 カワサキ製バイクのマニアの間では、東京都渋谷区で小さな修理店を営む「北見紀生」という人物は知る人ぞ知る“伝説の職人”なのだという。現在、六十八歳。カワサキ車の性能を引き出す調整にかけては「神様」とさえ呼ばれる。バイク雑誌でも、その職人技は称賛されてきた。

 鈴木さんは二十三歳のとき、宇都宮でのサラリーマン生活に見切りをつけて、大好きだったバイクの修理技術をマスターするため北見さんの店にいきなり飛び込んだ。

 弟子として謙虚に続けた約八年間の修業で「神様」の薫陶を受け、一九九五年に宇都宮に戻っていまの店を開いた。当時も一切、宣伝はしなかった。しかし「東京の北見さんの店にいた鈴木さんはこちらですか」と、客の方からやって来た。

 カワサキ製の古いオートバイの修理を得意とする鈴木さんの店には、そうしたバイクを愛する人たちが自然に集まる。お寺の住職もいれば、板前さんや警察官も。若者よりは、三十−四十代が多い。鈴木さんは暴走族が好むような改造は一切引き受けない。「オートバイが普通に安全に走れるよう修理する。それが一番大事なんです」

 バイクも車も、アフターサービスより、新車を売って利ざやを稼ぐことに懸命な店が多い。修理・レストア(再生)中心という鈴木さんのような店はもう珍しくなった。

 ことしも常連客たちから、大好きな古いバイクで北海道や東北へのツーリングを無事終えた、との連絡が相次いで鈴木さんの元へ届いた。「手間がかかるだけで割に合わない商売だといつも思ってますけど、そんな連絡を受けたときはうれしくなりますね」

 電話帳にも載っていない鈴木さんの店の連絡先は=電028(635)6676。

  (東松 充憲)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tcg/20030906/lcl_____tcg_____001.shtml