悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年09月05日(金) 06時53分

北海道の11矯正施設、「名義貸し」医師に報酬読売新聞

 勤務実態のない医師や非常勤の医師が常勤で働いているように装う「名義貸し」問題で、札幌刑務所など北海道内11の矯正施設が、週2—3日しか勤務実態のない北海道大などの医師16人に対し、常勤医師として年間1000万円以上の報酬を支払ったり健康保険証を交付したりしていることが4日、わかった。

 背景には、受刑者らを相手にするため医師のなり手が少ないとされる矯正施設の慢性的な医師不足があるとみられ、法務省は、全国の矯正施設で同様の勤務実態が横行しているとして改善を指示した。道や札幌市保健所も実態調査に乗り出す方針。同省所管施設で名義貸しが発覚したのは初めて。

 問題が指摘されているのは、常勤医を置く道内12施設のうち、札幌や旭川、帯広の各刑務所や拘置支所、少年院など11施設。名義貸しをしていたのは、常勤医として雇用されている17人のうち、北大、札幌医大、旭川医大の医局を通じて紹介された16人。

 いずれも施設内で勤務するのは週2—3日で、帯広の刑務所と少年院は週2日のうえ、どちらも半日だった。それ以外の日は医局で「研修」しているとされるが、医局内での研修内容の報告などは義務づけられておらず、各施設は実態を把握していないという。

 医師数の多い札幌刑務所を除く施設は、週の半分以上、医師が1人も勤務していない状態だった。

 矯正施設が週2—3日の勤務を条件に医師を非常勤として雇用すると、報酬は年200—300万円だが、常勤医としての契約のため、年収は約1000—1100万円で、健康保険証も交付されているという。

 これらの施設は保険医療機関ではないが、医療法上の医療監視の対象となっており、札幌刑務所に監視を実施している札幌市保健所は「実態は非常勤でありながら常勤医として届け出ているなら医療法上、問題だ」としている。

 札幌矯正管区の花村博文職員課長は「採用時に、医療技術の向上を目的に、出身医局で週何日間か研修することを条件として決めており、法的な問題はないと思っているが、今後、改善を検討している」と話している。

 これに対し、立命館大法学部の吉田美喜夫教授(労働法)は「医師不足が理由だからといって、このような形態をとるのは問題だ。医師が刑務所側に立った診療をしかねない構造で、受刑者らの人権の問題もはらんでいる」と指摘している。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030905-00000201-yom-soci