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2003年09月04日(木) 00時00分

強盗で初のコンビニ閉店 東京新聞

 深夜営業のコンビニ店を狙った強盗が絶えない。今や強盗被害の一割をコンビニ店が占めている。同じ店が繰り返し狙われるのも特徴で、ついに廃業する店も出た。生活スタイルの変化から地域社会に密着しているだけに、利用客にとっても深刻な問題だ。「開いててよかった」と犯罪者に思わせないための、防犯対策とは−。

 「強盗事件は多発する一方で怖くて仕方ない。これでは従業員やお客さんの安全を守る自信がない」

 先月末、強盗の多発を理由に閉店した横浜市西区の優良コンビニ店ファミリーマート横浜戸部店の経営者早川嘉之さん(62)は廃業の理由をこう話した。治安不安が理由のコンビニ店の閉店はこれが初めてという。

 店舗正面には閉店を知らせる広告が掛けられ、既に店舗内の棚や冷蔵庫などが取り外された。突然の閉店は客にとっても驚きだった。近くの住民男性(72)は「牛乳やパンなど頼めば配達してくれた家族付き合いのあったコンビニだったから寂しいよ。治安が悪くなったからこそ頑張ってほしかった」と残念がる。

 早川さんの店は十六年前に開店し、以来黒字続きの優良店だが、これまで二回強盗に襲われた。一九九五年八月と九九年二月、それぞれ未明に刃物を持った男が押し入り、一人でいた店員を脅して売上金約十万円を奪った。二回目の事件では、アルバイトが左手を切られ大けがをした。犯人は捕まっていないという。

 「事件後に防犯カメラを二カ所設置し、犯人に投げつけるカラーボールを置き、警備会社につながる非常ボタンをつけた。午前一時から五時まで自動ドアを手動にするなど自衛策を取った。従業員管理にも気を配り、深夜勤務を週一回にするなどさまざまな注意を払い、三度目の被害があってはいけないと気の休まらない毎日が続いた」

■本部の対応に不信感が増大

 不安が募るなか、早川さんの閉店への決意を決定的にした事件が起こった。今年五月下旬、都内と神奈川県内で一晩でチェーン三店が続けて強盗に襲われた。「もうダメだと思った」

 ファミリーマート本部の対応も不安を増大させた。早川さんは昨秋から防犯対策の強化を要請していた。同本部広報部は「執行役員を含め会社として対応してきたつもりなので残念だ」と話すが、早川さんは「今年の株主総会まで出席して対策強化を訴えてきたが、実効性ある対策が示されず、不信感を抱くことになってしまった」と本部への不信も閉店を決断させた。

 強盗被害に複数回遭った都内の別のチェーンのコンビニ店主は「対策をやり尽くしても、被害に遭ってしまった。防犯に完ぺきはない」と嘆く。その上で警察の対策強化を訴える。

 「自分の店の防犯を充実させても隣の店が襲われると、地域全体の治安が悪化する。ニューヨーク市警では軽犯罪の取り締まりを強化したら犯罪抑止につながったと聞く。政府が目に見える形で治安維持に力を入れてほしい」と民間の限界を指摘する。

 警察庁の重要犯罪に関する統計によると、深夜営業のコンビニ店などを対象とした強盗事件数は、今年は上半期だけで既に三百七十六件、昨年同期比の一・七倍増。同時期の強盗事件全体のほぼ一割を占める。強盗犯にとって格好のえじきだ。

 こうした状況にコンビニ業界は、防犯対策を打ち出している。大手コンビニチェーンによると、(1)深夜営業時に店員を二人態勢にする(2)入店時、客と視線を合わせてあいさつをする(3)レジの金を小まめに別の場所に移す(4)防犯カメラの常時稼働(5)犯罪が発生した後、犯人の特徴をメモに書き留め警察に通報する−といった対策を実施してきた。また、別の大手の担当者は「犯罪を抑止する意味合いから、とにかく明るい店づくり、お客さんが、ああ店員がよく客のことを見ているな、と感じる店にすることが基本です」という。

 だが都内で深夜営業をするある個人商店主(65)は大手コンビニ店の経営姿勢に疑問を持つ。「二十四時間営業するためアルバイトを多く雇い、だれが店番しているか分からないのがコンビニだ。客の顔も覚えない。こういったデジタル的な効率社会も一因」と話す。この店では「もともとサッカーW杯のフーリガン対策」だが防犯用に木刀をレジ脇に置く。「家族で店に立つため顔見知りの客も多く、不安はない」という。

■防犯カメラが逮捕決め手も

 危機管理コンサルタントの田中辰巳氏はコンビニ店について「夜中まで開いていて、簡単に入れて、確実に金があるのだから狙われるのは当然」とした上で、防犯設備の強化の必要性を訴える。

 「プライバシー問題があるが、指紋をとるためドアに手を触れないと入れないような入り口にしたり、ビデオカメラの設置を強化したり、強盗に遭っても、店員らに身の危険が及ばないような店の構造にするなどの対策はまだある。多少、設備投資に金がかかってもしっかりしたつくりにするべきだ」とプライバシー問題より、防犯対策を優先しないと安全が確保できないレベルまで治安は悪化していると指摘する。

 一方でコンビニ店は、当初から若者が深夜店前にたむろしたり、利用客のオートバイの騒音などで近隣住民から煙たがられる存在だ。だが役立つ面もある。

 七月に東京都渋谷区で発生した連続通り魔事件では、現場近くのコンビニ店の防犯カメラに容疑者が映り、検挙に貢献した。昨年十一月には、東京都武蔵野市で、未明に路上で男に刺された女子大生二人が近くのコンビニ店に駆け込み助けを求めた。業界側も地域の防犯拠点にする動きなど存在価値を高める取り組みを始めている。

 大手を中心に十四社(約三万七千五百店)が加盟する日本フランチャイズチェーン協会(東京)は今年三月から三カ月間、川崎市と佐賀県内で、協会加盟のコンビニ店が参加して、コンビニを地域の防犯拠点とする「セーフティーステーション化」への調査・実験を行った。

 参加した関係者によると、期間中コンビニ店員が商品販売以外に取り扱った出来事で多かったのは(1)未成年者への酒、たばこの販売拒否(2)お年寄りなどの介護(3)未成年者がたまり場とすることへの注意(4)警察などへの災害連絡−などで、既に現場は「コンビニ交番」として機能していた。大手チェーン広報担当者は「地域の防犯拠点という『社会インフラ』としての役割を果たしたい」と話す。

■「隣接」同士で緊急連絡網を

 前出の田中氏は「二十四時間人がいる交番」としての役割も期待する。「警察官を増やす計画もあるそうだが、焼け石に水だ。特に地方都市ではコンビニのほうが交番よりはるかに多く、隣接するコンビニ同士で緊急連絡網をつくれば、犯罪に遭ったときに警察へ連絡もスムーズで、店同士の危機管理にも役立つ」


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20030904/mng_____tokuho__000.shtml