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2003年09月03日(水) 21時18分

[元気銘柄]南都コンピュータサービス 個人情報保護の体制整備 /奈良毎日新聞

 ▼今週のことば 「信頼されること」が成長に不可欠 
個人情報保護法が成立するなど、プライバシーに対する関心は近年非常に高い。その中で、情報処理を担う「南都コンピュータサービス」(NCS)は7月、個人情報保護の体制が整った企業として、県内で初めて「プライバシーマーク」の認定を受けた。岡本正明代表取締役常務(59)は、信頼の証しを喜びながらも「これを機に、県内各企業の情報に対する意識啓発もできたら」と情報処理産業界全体を見据え、プロの顔をのぞかせる。 【青木絵美】 
 「プライバシーマーク」は、日本情報処理開発協会(JIPDEC)が日本工業規格に従って個人情報保護に関する組織内の体制を整備した事業者を認定する。今年8月28日現在、562社が認定されている。 
 NCSは、02年9月から体制整備に向け、社内で「個人情報保護方針」を固め、「個人情報保護コンプライアンス(社内規定)・プログラム」を制定した。どのデータが個人情報なのかを特定する手順から、社員の情報に対する姿勢、出入室の管理まで、12の項目からなる。 
 「個人情報」の判断は非常に微妙だ。例えば一般に、受け取った名刺を手元のホルダーに挟んで管理するのと、パソコンに入力して管理するのでは、全く意味合いが異なる。後者はデータの変容の危険もある「個人情報」と定義でき、管理に一層の注意が必要となるのである。 
 しかし、買い物や情報収集で、インターネットが急速に普及する今、利用者は「危険」を強く意識することなく、住所、名前、電話番号など個人の情報を入力し発信している。「情報を受けた方が責任を持ってガードをかけていかなくては」と、岡本常務は時代を読み、使命感を感じている。 
 NCSは、南都銀行のシステム部からデータエントリー部門が分離独立して86年に設立された。情報処理企業が少なかった当時、システム部には取引先の企業から「会社にコンピュータを取り入れシステム化したい」と多くの相談が寄せられるようになった。それらに応えようと、NCSは銀行時代に鍛えられた情報への基本スタンスを持ち、企業のコンサルタント役を担った。 
 17年目の今、社会変化に応じ、NCSの業務にも変化が見える。不況で中小企業は本業だけでも忙しく、確実性が求められる経理も、専任職員の確保が厳しくなっている。 
 NCSは現在、各企業のカバー役として「給与計算」など計算事務を50〜60社ほど請け負うようになっている。身近な場面ではゴルフ場システムも支える。プレーの予約からスタート、ハンディキャップ管理。人々の仕事場からスポーツや娯楽までフォローしている。 
 NCSが目指すのは「地元に根ざした情報処理企業」。「システムは生き物。次々変わる情報環境はアフターフォローが大きな意味を持つ」と岡本常務は語る。日々変化に富む情報産業。地域に存在することで、各企業のシステム上の危機や変化に迅速に対応できる。実際、そうした素早さを評価し、NCSにシステム管理を依頼する県内企業は増えてきている。当然、同社の「個人情報保護コンプライアンス・プログラム」自体も社会環境に合わせ、監査・見直し・継続的改善ができる体制を整える。 
 岡本常務は「我々の仕事は、人々の生活の中で、動いて当たり前のシステムを支える裏方。『信頼されること』が成長に不可欠」とこれからの展望を話す。 
 NCSの社員が「人・もの・金に続いて第4の資源」と据える「情報」は、活用も濫用(らんよう)も紙一重。だからこそプログラムに安住しない緊張感ある挑戦が続く。 
【所在地】奈良市南京終町1の93の2 
【資本金】1000万円 
【売上高】6億6000万円(02年度) 
【従業員】約70人 
【業務内容】コンピューターシステム開発、ハードウエア販売、各種計算事務の受託など 
 ◆取材後記◆ 「情報処理」にイメージがわかず、初めに「仕事内容を分かりやすく説明しているものはありますか?」と聞いた。愚問だった。例えばクレジットカード情報や給与計算。流用や間違いがないよう管理され、トラブルが明るみになれば社会問題になる緊張感ある仕事だった。生活の安心は見えない「縁の下の力持ち」あってのものなのだ。 (毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030903-00000002-mai-l29