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2003年09月03日(水) 00時00分

「殺虫剤で健康被害」 消毒会社に賠償命令朝日新聞・

  殺虫剤がまかれた後の調理場で体調を崩したのは、殺虫剤が原因だとして、健康被害を受けた女性が、作業にあたった消毒会社などを相手に2620万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決が2日、盛岡地裁であった。高橋譲裁判官は、健康被害と殺虫剤の不適切な散布との因果関係を認定。原告側の訴えの一部を認めて、消毒会社に既払い金を含む983万円の支払いを命じた。

  訴えていたのは、当時盛岡市内の会社寮の寮母だった盛岡市西松園2丁目、無職冨山利子さん(61)。

  訴状などによると、98年3月、会社寮の調理場で、盛岡市の消毒会社、イカリ消毒盛岡(鈴木三郎社長)が、害虫防除のために殺虫剤を標準量以上に散布した。入室可能と指示された後、冨山さんが食事を準備している間に頭痛や全身にだるさを感じたという。その後も筋肉、関節痛、思考力の低下などの後遺症に苦しんだ。

  殺虫剤の成分は、一般に「普通物」に分類されるスミチオンなどで、人体に影響が少ないとされてきた。裁判では普通物の人体への影響や、消毒会社の注意義務などについて争われた。

  判決では、スミチオンでも、有機リン酸中毒の事故例が報告されていることから、安全と評価できないとした。その上で、調理場には標準以上の殺虫剤がまかれ、原告の症状は、殺虫剤を吸い込んだのが原因と認めた。

  また、消毒会社は殺虫剤散布後、人への影響を防ぐために注意を周知させる義務があり、それを怠ったとした。その後の後遺症についても、因果関係を認めた。

  農薬などの乱用に反対する市民団体「反農薬東京グループ」の辻万千子代表は「毒物、劇物以外の普通物に分類される薬剤も、人体に影響を与えたと認められたことは極めてまれ」と、判決を評価している。

(9/3)

http://mytown.asahi.com/iwate/news02.asp?kiji=4256