悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年09月02日(火) 23時44分

輸血で誤って空気混入、女性重体…東大病院読売新聞

 東大医学部付属病院(東京都文京区、永井良三院長)は2日、20歳代の女性患者に対して行った肝臓の緊急手術で血漿(けっしょう)を輸血する際、誤って血管内に空気を混入させ、一時心停止になる医療事故があったと発表した。

 女性は蘇生(そせい)措置を受け、心臓の動きを取り戻したが、意識不明の重体。事故の届け出を受けた警視庁本富士署は、業務上過失傷害容疑で捜査する。

 2日夜、永井院長らが緊急会見で明らかにしたところによると、手術は1日午前に行われ、輸血は、13年の経験を持つ麻酔専門医(43)と研修医(24)の2人が担当。麻酔専門医が他の手術の様子を見ようと手術室を離れた間に、研修医が輸血量を増やす操作を行い、空気が混入した。

 手術で使われた「急速輸血ポンプ」は、輸血量を増やした場合、空気混入の危険性があるため、管の密閉性を高める必要があるが、この措置が取られていなかった。空気の混入を知らせる装置も正しい位置に設置されておらず、警報が作動しなかった。

 ポンプは操作が複雑なため、東大病院では基本的に研修医は触らないことになっていた。しかし、病院の調査によると、麻酔専門医の不在時に、執刀医が「今日の輸血量は多めに」と言ったため、研修医は「(執刀医の言葉で)大量に入れないといけないと思った」という。病院はさらに詳しい経緯を調べている。

 永井院長は「研修医は使い方を熟知しないまま機械に触ってしまった。専門医も、研修医が触ると想定していなかった」と話した。

 研修医は今春、大学を卒業し、同病院に赴任したばかり。

 女性患者は8月末に同病院で肝臓の手術を受けたが、術後の容体が思わしくないため、再手術を受けていた。

 同病院では、院内に医療事故調査委員会を設け、事故原因の分析と再発防止の検討を始めた。永井院長は「このような重大な事故を招いたことは誠に残念。患者本人とご家族のみなさまに深くおわびしたい」と陳謝した。

 この事故を受け、厚生労働省関東信越厚生局と東京都は、同病院の安全管理体制に問題がなかったかなどを確認するため、医療法に基づく臨時の立ち入り検査を行う方向で検討を始めた。

 厚労省によると、東大病院では、2000年4月から昨年2月までの約2年間に58件の医療事故があり、このうち4件は、患者が死亡するなどの「重篤」なケースだった。また今年5月には、大動脈りゅうの手術を受けた都内の男性患者(当時75歳)が、手術中に血管の内壁を傷つけられて出血し、死亡している。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030902-00000314-yom-soci