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2003年09月02日(火) 14時40分

細菌汚染の輸血で急死…日赤、最終報告せず読売新聞

 千葉県内の大学病院で2000年春、肺炎球菌に汚染された血液を輸血された50歳代の男性患者が輸血当日にショック状態に陥り、多臓器不全で死亡していたことが2日わかった。

 病院は2001年末、菌の遺伝子解析などから輸血で大量の細菌が入ったためのショック死と結論づけた。輸血用血液の細菌汚染が原因と強く疑われる患者の死亡例は極めて異例。一方、因果関係を認めていない日本赤十字社は、薬事法に基づく「感染症報告」で、病院側の最終的な調査結果を厚生労働省に伝えず、先月追加報告を指示されていた。

 造血系疾患の患者が輸血を受けたのは2000年3月。輸血終了直後から胸や背中の痛みを訴え、血圧低下でショック状態に陥り、約9時間後に死亡した。

 同年8月までに輸血に使った血液の残りと、日赤に保管中の同一献血者の未使用血液から肺炎球菌が見つかり、献血血液が肺炎球菌に汚染されていた可能性が高くなった。この時点で日赤は同省に感染症報告を提出、「因果関係は確認できない」と報告した。

 その後、両方の肺炎球菌の遺伝子が一致していることが判明。患者の肝臓からも同じ菌の遺伝子が検出された。他にショック状態を起こす原因もないことから、病院は肺炎球菌に汚染された輸血用血液が原因と判断。2002年初めに、日赤に調査結果を通知するとともに、今年6月の学会誌で発表した。

 しかし、日赤は新たに判明した調査結果を、同省に追加報告しなかった。同省は従来、重大な新事実が明らかになった場合、改めて報告するよう求めている。

 献血時の病原体検査の対象は、肝炎ウイルスなど6種類に限定され、肺炎球菌など他の病原体が混入してもわからない。短時間にすべての病原体を確実に検出する方法がないためだ。

 日赤は問診で、感染症の疑いがある人に献血を辞退してもらっているが、献血者に自覚症状がないと、すり抜ける恐れがある。

 抜本的な対策としては、輸血用血液に化学物質を加えて、病原体の感染力を奪う「不活化」技術があり、欧州では90年代から普及している。しかし、日赤は対応が遅れており、ようやく実用化研究に取り組もうという段階。国内導入は早くて4、5年先になる。

 日本赤十字社血液事業部は「現時点でも、輸血と患者さんのショック状態の因果関係は確認できないと考えているが、先月、国から追加報告の指導があり、近く報告する」としている。

 ◆肺炎球菌=人の口や鼻の中に日常的に存在する細菌の1つ。健康な人には症状を引き起こさないことが多いが、免疫機能の低下した高齢者や入院患者では、重い肺炎や中耳炎などの原因になる。抗生物質が効きにくい耐性型が増えており、医療現場では警戒感が高まっている。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030902-00000005-yom-soci