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2003年09月01日(月) 19時58分

[言わせて聞かせて]県弁護士会広報委員長・武藤壽さん /岐阜毎日新聞

 ◇「弁護士がわかる本」でちょっぴり身近に−−報酬根拠説明・依頼者にもメリット、各地域にバランスよく配置が課題
 岐阜県弁護士会がこのほど「ぎふの弁護士がわかる本」(A5判、173ページ)を出版した。県弁護士会としては初めての試みで、同会のイメージアップを図ろうと、各弁護士の趣味などにも触れながら紹介している。同会の広報委員会委員長を務める武藤弁護士に、出版の目的や、弁護士との付き合い方などを聞いた。
 ——出版のきっかけは。
 一昨年の会長の呼びかけで、1年ほど前に広報委員会で出版に取りかかった。岐阜の弁護士を知ってもらうことと、もちろん宣伝も兼ねている。また、岐阜の弁護士全体のイメージアップを図る狙いもある。発行は5000部。県内の中学、高校、大学や図書館などにも置いてもらった。
 ——今まで弁護士の広告は禁止されていた。自分に合った弁護士を見つける手立てがなかった。
 友人などのつてを頼りに探すか、弁護士会に電話するしかなかった。しかし、それさえも思いつかない人がほとんどだったと思う。そういう意味では、ある程度宣伝ができるようになったことで、少しは弁護士が身近になったのではないか。この本を参考にしてほしい。
 ——実際に、弁護士が必要になったとき、良い弁護士を選ぶポイントは。
 まず、第一に信用だ。一生懸命にやってくれるかどうか、話をきちんと聞いてくれるかどうか、だ。弁護士に依頼する人は、多かれ少なかれ不安を抱えている。話をきちんと聞いてくれて、不安を取り除いてくれるかどうかがポイントだ。
 弁護士会は名簿の順番で弁護士を紹介するだけ。例えば「交通事故に詳しい弁護士を紹介してほしい」と言っても教えてくれない。やはり、会ってみて、自分で確かめて選ばなければならないのが現状だ。
 ——司法改革で今後は弁護士も増える。弁護士と市民の付き合いも変わっていくのか。
 30年前、将来はアメリカのような、いわゆる「ホームローヤー」が増えると言われていた。しかし、現状ではそうはなっていない。日本人はアメリカ人のように白黒はっきりさせる国民性を持っていないので、弁護士の人数が増えたからといって、アメリカのような訴訟社会になるとは思えない。ただ、報酬制度が変わり、顧問料なども自由になるので、今までよりは個人を対象にした顧問弁護士が増える可能性はある。
 ——報酬制度が変わると、どんな影響が出るのか。
 今までは、どんなに手間が掛かっても、報酬は同じだった。今後は内容に応じて金額を変えることができる。弁護士にとっては正当な報酬がもらえる。依頼する側にとっても「なぜその金額なのか」と聞けるようになる。これまで弁護士は「この金額が基準です」と、悪く言えば「逃げる」ことができた。これからはそうはいかない。「なぜこの値段なのか」を説明せざるを得なくなる。依頼する側にとってもメリットになるはずだ。
 ——県内の弁護士にとっての課題は。
 現在、県内の弁護士は岐阜市や大垣市など都市部に集中している。弁護士の数が増えるのに伴い、弁護士がバランスよく配置できるかが課題になっていくと思う。すべての県民のそばに、必ず一人は弁護士がいるような状況になればいい。
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 ◇むとう・ひさし
 51歳。八幡町出身。76年中央大学法学部卒。80年に司法試験に合格し、83年に弁護士登録。分野は民事が主で、破産事件や債務整理事件などを数多く扱う。県弁護士会広報委員長。趣味・サクソホン。弁護士に一番必要なことは「柔軟に発想し、最良の解決策を探ること」。(「ぎふの弁護士がわかる本」より)
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 ■記者のひと言
 ◇選択が容易になる工夫こそ
 弁護士を取り巻く環境が変わりつつある。00年10月から弁護士広告が原則自由化されたほか、日弁連は年内にも弁護士報酬規定の廃止に乗り出す方針だ。また、司法試験の合格者も99年の1000人から、来年には1500人に増えるなど、法曹界を取り巻く環境が急激に変わりつつある。
 だが、弁護士と依頼する側の市民との距離は、いまだに遠い気がする。例えば、日弁連は弁護士広告について「得意分野などを宣伝することは誤解を与えかねない」として基本的には禁じており、各弁護士会も紹介には応じない。だが、いざ弁護士に依頼する際、専門分野などが分からなければ、選ぶ側にとって不都合な点も多い。広告を悪用し、多重債務者を狙い撃ちするように集客する「問題」弁護士がいるのも事実だが、県弁護士会には市民がもっと弁護士を選択したり、近づきやすくなるような工夫に取り組んでほしい。【米川直己】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030901-00000002-mai-l21