悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年09月01日(月) 16時58分

「パプアの焼き畑」よそで撮影 コスモ石油の広告写真朝日新聞

 パプアニューギニアで環境保護に取り組んでいることをPRする石油業界大手「コスモ石油」の広告で使われた写真が、実際はパプアで撮影されたものではなく、米国やブラジルで撮影されたものだったことが分かった。市民団体からの指摘に同社は「配慮が足りなかった」として、広告の差し止めや写真の差し替えを検討している。しかし、市民団体は「現地での同社の活動は、そもそも環境保護になっていない」ともいっている。

 広告は、パプアの焼き畑農業を環境破壊とし、そこで稲作への転換を手伝う自社の「功績」を訴える狙いで、昨夏からテレビや新聞、自社のホームページに掲載してきた。

 樹木や下草などが炎と激しい煙をあげて燃える写真と、それを背景に「生きるために森を焼く人たちに、森を守ろう、という言葉は届かない。」「焼畑による森林破壊 毎分約30000平方メートル」などと比較的大きな文字で記されている。

 さらに、焼き畑農業を「熱帯雨林が広がる国々に古くから伝わる農法」とし、それが人口増や貧困などで「破滅的農業へと変貌(へんぼう)した」と説明。同社は、パプアで焼き畑に従事する農民が稲作で暮らしていけるよう支援していると訴えている。

 ところが、使われた写真は米国オクラホマ州での草焼きや、ブラジルのアマゾンの熱帯林で撮影されたものだった。今年7月、市民団体「パプアニューギニアとソロモン諸島の森を守る会」(辻垣正彦代表)が「パプアにしては焼き畑が大規模すぎる」と同社に問い合わせて分かった。

 同社は「現地で焼き畑が森林破壊の1つの要因だと聞き、その資料写真を業者から取り寄せて、その中から象徴的なもの3枚を選んで使ったが、配慮に欠けていた。写真は止められるものから止め、テレビCMについては改訂時に正確なものにしていく」と説明している。

 しかし、パプアニューギニア環境保全省によれば、そもそも森林破壊の70%は商業伐採が原因で、焼き畑によるものは10%以下という。守る会の辻垣代表らは「コスモ社の活動はむしろ、森と共存している現地の伝統的な農業とイモの食文化の破壊につながるのではないか」と指摘している。

(09/01 16:57)

http://www.asahi.com/national/update/0901/033.html