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2003年08月31日(日) 07時02分

仙台北郵便局 今度は外務員が簡保の架空契約河北新報

 仙台北郵便局(仙台市青葉区)の簡易保険不正契約問題で、男性保険外務員が1992—94年の3年間、実在しない人物を被保険者として計7口(保険金総額4500万円)の貯蓄型保険の架空契約を行っていたことが、30日分かった。外務員が「民間より利率が良い」と資産運用を持ち掛け、仙台市若林区の50代の男性が契約者となっていた。郵政公社東北支社は不正の事実を確認、配当金約500万円を返還させた上、外務員を懲戒処分にした。

 関係者によると、外務員は92年9月、男性から預貯金運用の相談を受けた際、簡保の配当が郵便貯金などより利回りがいいことを説明。男性に子どもがいるように偽り、94年5月までに、架空の人間を被保険者とする10年満期の貯蓄型保険を7口契約した。

 この契約は98年10月までに、男性の妻(当時)が途中解約した。この時点で男性側は2250万円の保険料を払い込んだ。
 その後、男性の親類が公社東北支社(当時・東北郵政局)に相談し、架空契約であることが発覚した。東北支社は2000年6月、元妻と男性に対し、解約に伴う還付金約2750万円を払ったが、このうち男性側が払い込んだ保険料分を除き、配当金約500万円を返還させた。

 契約時、外務員は「被保険者は若い方が有利。名前は架空でいい」と持ち掛けたという。郵政公社東北支社は架空契約があった事実を認めた上で、「調査したが、外務員が持ち掛けたかどうかは確認できない」と話している。

 仙台北郵便局ではことし4月、別の外務員11人が91年度から02年度にかけ、仙台市泉区の女性を契約者とし、被保険者に無断で簡保52口の不正契約を行っていたことが判明。また7月には、北郵便局長が物品納入業者と架空契約を結んで商品券などを受け取り、業務上横領容疑で書類送検されている。
 公社東北支社は「簡易保険の架空契約は今回のケース以外はない」としつつ、相次ぐ不正発覚に東北の各郵便局を対象に調査を開始した。

◎本人確認の甘さ露呈

 仙台市内で相次いで発覚した郵便局の簡易保険不正契約は、高い配当目当ての契約者と契約実績を求める保険外務員の思惑が一致し、架空の被保険者をつくり出したり、本人の了解を得ないまま契約したりという不正行為につながった。簡易保険の「本人確認」の甘さも突かれる結果になった。

 仙台市太白区の50代の主婦は1996年、自分の子ども2人に親類が無断で簡易保険を掛けていたことを知った。社会人になった子どもが簡保に加入しようとしたら、郵便局から「保険金の加入限度枠がいっぱいで入れない」と言われて発覚した。

 一人の被保険者が加入できる簡保の保険金限度額は計1000万円。親類が子どもに保険を掛けたことに、家族は全く気付かなかった。契約時の通知書などは親類の住所に郵送されていた。
 郵政公社東北支社によると、簡保では契約満期時や被保険者の死亡時に被保険者の生年月日などの確認を必要とするが、契約者と外務員が“結託”した場合は、不正を行っても発覚しにくい。

 不正契約は契約者にとって「資産運用」にすぎないかもしれないが、名前を無断で使われた被保険者にすれば、自分の知らないところで誰かが配当金や死亡時の保険金を受け取ることがまかり通ることになる。
 太白区の主婦に対し、郵便局側から詳しい説明はなく、現在まで契約の詳しい経緯は不明。主婦は8月上旬、公社東北支社に調査を依頼し、詳細な説明を求めている。
[河北新報 2003年08月31日](河北新報)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030831-00000009-khk-toh