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2003年08月29日(金) 03時18分

<院内感染>伊藤脳神経外科病院長ら書類送検 7人死亡で  毎日新聞

 東京都世田谷区の伊藤脳神経外科病院で01年12月から翌月にかけ、セラチア菌が原因とみられる集団感染で患者24人が発症し、このうち7人が死亡した事故で、警視庁捜査1課と北沢署は29日、伊藤誠康院長と看護師長を業務上過失致死傷容疑で書類送検する。感染源と感染ルートがほぼ特定でき、院内感染であることが立証できたとしたうえで、衛生管理を徹底しなかった院長らに責任があると判断した。警察庁によると、院内感染で病院長が立件されるのは初めて。

 同病院で01年12月28日〜02年1月14日の間、24人が発熱し、このうち24〜91歳の男女7人が敗血症などのため死亡した。

 調べによると、患者らは「ヘパリンロック」と呼ばれる処置を受けていた。この処置は点滴を一時中断する際、血管に刺したまま残す「留置針」内に、血液の逆流や凝固を防ぐ「ヘパリン加生理食塩水」という薬液を満たす。薬液は、ナースステーションの手洗い用流しのそばにある点滴調整台で看護師らがつくり、室温で保存していた。

 発症した患者らに実際に使われた薬液は残っていなかったが、流し脇の水切りかごの下に敷かれたタオルからセラチア菌が検出され、死亡した患者らの菌とDNAが一致した。このため捜査1課は、セラチア菌に汚染された薬液が感染源で、患者らは留置針を通じて血流感染したとみている。

 流しでは使用済み医療器具の洗浄もされており、近くには廃棄物を入れる容器もあった。また、看護師らは高い殺菌効果のある消毒液での手洗いをしていなかった。同課は、院長らが看護師らに院内感染予防の研修などを行わず、不衛生な環境を放置していたことが院内感染につながったとみている。

 今回は24人のうち、セラチア菌のDNAが一致した12人(このうち6人死亡)分について立件する方針。【草野和彦、川辺康広、長谷川豊】

 ◇セラチア菌 自然界に広く分布し、大腸菌などと同じように人の腸内でも見つかる細菌。毒性は弱く、健康な人には無害だが、高齢者や手術後の患者など抵抗力が低下した人は発熱や敗血症を起こすこともある。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030829-00000167-mai-soci