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2003年08月29日(金) 16時50分

ネット上に「購入できる個人情報」が氾濫WIRED

 ワシントンDC発——インターネット上では、ほとんどすべてといっていほどあらゆるものが売りに出されている。たとえば、米中央情報局(CIA)のジョージ・テネット長官やジョン・アシュクロフト司法長官といった政府トップ高官の社会保障番号さえも金を出せば手に入る。

 カリフォルニア州に本部を持つ『 http://www.consumerwatchdog.org/ 納税者と消費者の権利財団』(FTCR)によると、テネット長官やアシュクロフト司法長官をはじめ、大統領の上級政治顧問カール・ローブ氏も含めてブッシュ政権の高官の社会保障番号と自宅住所を、各人につき26ドルで購入できたという。

 個人情報の保護強化の必要性を具体的に示す例だと、FTCRは述べている。

 CIAはコメントを避けた。また、米司法省からもコメントは得られていない。

 FTCRがとくに懸念しているのは、『 http://www.ftc.gov/os/statutes/fcra.htm 公正信用報告法』の修正法案が下院に提出されていることだ。この法案はスペンサー・ベイカス下院議員(アラバマ州選出、共和党)、ダーリーン・フーリー下院議員(オレゴン州選出、民主党)をはじめとする10数名の議員が提出したもので、とくにID窃盗を防止し消費者記録の正確さを高めることなどを目的としている。

 FTCRのジェイミー・コート上級理事は、法案全般のねらいには支持を表明している。しかし、現在、 http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20030703104.html 州が独自に制定したより厳格なプライバシー法に適用されている期限付きの除外規定(日本語版記事)を延長する条項が含まれていることには、抗議している。

 カリフォルニア州のグレイ・デイビス知事が27日(米国時間)に署名して法制化した http://www.wired.com/news/politics/0,1283,60128,00.html 州法は、企業が消費者に無断で、提携先や系列企業などと個人情報を共有する行為を禁止している。

 「銀行や保険会社が最も厳格なプライバシー保護を定めた州法から逃げるために、ワシントンの連邦議会に駆込むことは許されるべきではない」とコート上級理事は述べた。

 銀行側は、業界内での個人情報の共有を厳格に規制していると主張している。それでも、『 http://www.acbankers.org/ 米国コミュニティー銀行協会』のダイアン・ケイシー=ランドリー代表は、プライバシー保護に関する全国規模の標準制定を支持する声は高いと述べる。複数の州が互いに異なった規則を導入すると事務処理が増えて、消費者がローンを組む際に新たな問題となったり、ローン経費がさらにかさむ可能性があるという。

 ブッシュ政権はこれまで議会に対して、米国の信用情報に関する法律を強化するよう強く呼び掛けており、下院に提出された法案を評価している。8月の休会から議員たちが戻り、議会が再開されれば、何週間もたたずに票決に至る見込みだ。

 ベイカス下院議員の広報担当者は、この法案には、不正行為を厳格に処する重要な新条項が記されていると述べた。FTCRが指摘した問題については下院と上院での票決後、両院協議会で検討することになるだろうという。

 FTCRは、信用記録に関する強力な連邦法の成立を求めている。だが、連邦法の成立が、個々の州がもっと厳格なプライバシー保護法を制定することを阻むものであってはならないとコート上級理事は述べる。

 企業の中には、傘下に数百もの企業を従えているところもあるため、これらの企業間の情報の横流しを止めることが鍵になるというのが、コート上級理事の主張だ。たとえば、銀行を経営している企業が、保険会社、証券会社、不動産会社をなど多数の提携企業との取引を有している場合、関連会社すべてに金融データが行き渡ってしまうおそれがある。

 「こういった企業間での情報のやりとりを止められないなら、米国にはプライバシーなどないも同然だ」とコート上級理事は述べる。

 オンラインで手にはいるのは社会保障番号だけではない。個人の銀行口座の残高を300ドル程度で教えてくれるサイトもあると、コート上級理事は言う。

 サンディエゴに本部を持つ『 http://www.privacyrights.org/ プライバシー権情報センター』のベス・ギブンズ代表も、社会保障番号をはじめとする個人データを提供しているサイトの数は少なく見ても10を超えると述べている。

 「少し金を払う気があれば、このようなタイプの情報はインターネットから非常に簡単に入手できる」とギブンズ代表は語った。

[日本語版:湯田賢司/長谷 睦]日本語版関連記事

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