悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2003年08月29日(金) 01時59分

首相の死刑判決「当然」発言、憲法学者は「軽率」 朝日新聞

 大阪教育大付属池田小事件の死刑判決について小泉首相が28日、「当然だ」と語ったことは、記者団に求められて感想を述べたとはいえ、行政の長として判決確定前の訴訟への論評を避けてきた従来の首相発言を踏み出すものだ。三権分立に照らし、識者からは「軽率では」との指摘が出ている。

 小泉首相は28日、2度にわたり記者団に判決の感想を質問され「これは当然だと思います。こういう犯罪がなくなるように治安の面でも安全の面でも政府としても今後さらに努力しなければならない」などと語った。

 2度目の発言の際には記者団に「行政の長が司法に踏み込みすぎているという見方もあるが」と聞かれ、「首相として感想を言うのは私は悪くないと思う」と語った。

 こうした首相の発言について、憲法学者の奥平康弘氏は「判決が未確定の段階で(今後の裁判に)影響を与えうる国家の代弁者の発言としては非常に軽率だ。首相は社会の操縦を任されている立場。被告を処罰することだけでなく、事件を生み出した社会を自らが作り出しているという当事者意識、責任感が欠落しているのでは」と指摘する。

 これまでの首相は、司法の判断についてはコメントは差し控えてきた。過去には確定判決であっても「行政機関が裁判所の下した判決の当否を論じるのは、三権分立の憲法の精神に反する」(稲葉修法相=76年)との国会答弁もある。

 福田官房長官も28日の記者会見で今回の判決について聞かれ、「裁判での判決を尊重する」と判決への論評は避けた。

(08/29 01:58)

http://www.asahi.com/national/update/0829/005.html