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2003年08月28日(木) 00時00分

冷夏異変、悲喜こもごも/米作柄やや不良ビアガーデンにこたつが登場‖松本市のレストラン「第一会館」で朝日新聞・

 涼しく雨の多い今年の夏。県内でも10年ぶりの冷夏となった。長野地方気象台によると、24日までに日照時間は平年に比べ8割ほど、最高気温が30度以上の真夏日も長野市で19日(平年35日)、松本市で18日(同35・6日)と大幅に下回った。記録的な「冷たい夏」は生活にどんな影響を与えたか−−。悲喜こもごもの表情を追った。


 「全体で見ると、何とか大丈夫でしょう」
 県農業技術課の職員は、盆明け以降、気温が上がったことで胸をなで下ろした。
 同課のまとめでは、リンゴやモモ、ブドウなどの果樹は低温の影響を受けにくく、果実の大きさは平年並み。ただ、日照不足のため糖度や色合いに不安がある。

 一方、影響が大きかったのはレタスや白菜などの高原野菜類だ。JA長野八ケ岳(南佐久郡南牧村)によると、雨が多く日照時間が少なかったため、病気が発生、小玉や変形が多かった。今月中旬からの出荷数は例年の半分に落ち込んでいるという。
 同JAは「天候が回復したため出荷数も徐々に持ち直しているが、9月の天候次第。野菜の値段は上がっているが、数量の落ち込みがひどく、農家にとっては大きな痛手」と話した。

 米の状況も芳しくない。関東農政局長野統計・情報センターは27日、今月15日付の県内平均の作柄を「やや不良」と発表した。
 県農業技術課によると、出穂時期は平年より5日ほど遅れている。高冷地では、実の成らない割合を示す不稔率が平均20〜30%と平年以上。平たん地では5〜10%という。
 ただ、現段階で調査をしていない県内主力米「コシヒカリ」は、出穂期が5日ほど遅れたものの、作況指数が78と記録的に落ち込んだ93年よりは1週間早かった。

   ◇  ◇
 松本城の入り口にあるレストラン「第一会館」のビアガーデンでは、余りの寒さにこたつ布団が登場した。客の提案で16日から用意した。
 こたつ布団を夏場に出すのは初めて。暑さが戻ると、客から「暑苦しい」と言われ、現在は天候によって出したりしまったり。しかし、飯嶋好房支配人は「こたつ布団の効果はほとんど無い」。売り上げは例年の7割程度という。

 電化製品の売り上げは、商品によって明暗が分かれた。家電量販の大手、ヤマダ電機(本社・前橋市)によると、エアコンや扇風機の7月の売り上げは、例年より3割も減った。一方で、長雨のため除湿器(例年の1・7倍)や乾燥機付き洗濯機(同1・4倍)が飛ぶように売れた。さらに、「天候が悪く行楽地に出かけず、趣味嗜好(しこう)品の購入に傾いた」(同社)ため、テレビやデジカメ、パソコンなどが好調だった。

 冷夏にもかかわらず、水着の売り上げは良かった。パルコ松本店で扱ったあるブランド商品は、7月に全国で5指に入る売り上げを誇った。「海の無い長野の人は、気軽に行けない分、事前に計画する。新作流行に敏感に反応し、夏の前に思い切って新調した人が多かったのでは」と担当者はみる。

   ◇  ◇
 「商売にならないよ」
 長野県民の海水浴場とも言われる新潟県上越市の直江津海水浴場の浜茶屋経営者はこぼす。
 同市観光課の西山工三課長は、市内にある直江津、谷浜の二つの両海水浴場に今年、訪れた人数は、例年の七十数万人に比べて6、7割と見積もる。民宿14軒が並ぶ谷浜は、民宿の利用客が予定通り訪れたため、影響は少なかったが、民宿がない直江津では例年の半分ほどだったという。
 西山課長は「冷夏だった93年の人出は約38万人。それに近い厳しさです」と力無く話した。

 そんな中、屋内プールと大浴場を備えた総合レジャー施設「ラーラ松本」の好調さが目立つ。雨の降った14日は5773人と99年のオープン以来、最高入場者数を記録。「海や山の観光客をラーラがすべて持っていった」と松本市広報国際課。
  最高記録を後押ししたのは大浴場の利用者。14日は例年の倍近い1356人が入った。「寒くて泳ぎにいくより、風呂に入りたくなるような気温だったから」と施設担当者は言う。
(8/28)

http://mytown.asahi.com/nagano/news01.asp?kiji=3525