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2003年08月28日(木) 00時00分

コメ10年ぶり不作 道内「著しい不良」冷夏の影響で生育が遅れるイネ。丈は短く、穂には実が入らないものも=空知支庁長沼町中央で朝日新聞・





米どころ南空知・道南 深刻



  道内の今年産の水稲は93年以来の凶作見通しとなった。11支庁管内の作柄概況は、すべて作況指数90以下にあたる「著しい不良」で、特に主産地の南空知や道南地方で深刻な状況になっている。出穂期の7月下旬から今月上旬にかけての低温や日照不足が響いた。穂には実が入らない不稔もみが多数見られ、品質の低下も懸念される。備蓄米の在庫量からコメ不足になる心配はなさそうだが、農家にはつらい秋になりそうだ。

  「南空知、道南の作柄が特に悪い。指数にすると70〜80程度の不良具合か。上川や北空知は90以上だろう」。民間の調査会社米穀データバンクの担当者はこうみる。

  農水省北海道統計・情報事務所は、全道の15日現在の作柄概況を発表したが、3年前から8月の概況は指数で示さなくなったため、今回も道内全地域で「著しい不良」としか示されていない。このため、この時期の地域比較は出来なくなったが、現地の農業関係者らの見方も米穀データバンクとほぼ同じだ。

  ■93年に並ぶ

  空知支庁管内の水稲の生育状況は15日現在、平均で平年より「6日遅れ」。特に南西部地区の長沼、南幌町などは「10日遅れ」と深刻で、冷害だった93年の「11日遅れに」にほぼ並んだ。

  長沼町では、各農家が低温対策として土壌水分を60〜80%に保つほか、生育に合わせて発生するムシ駆除の徹底を図っている。品種によってばらつきがあるが、大幅な収量減は否めない。

  低温に伴う農産物の生育遅延に対処するため、同支庁で10年ぶりに「農業対策推進本部」を発足、28日に南西部地区の実態を調査する方針だ。

  一方、北空知は平年より「4日遅れ」。空知北部地区農業改良普及センターによると、平年と比べ穂数は13%多いが、稲穂1本あたりのもみ数が8%少ない。深川市など1市3町の約1600戸の水稲農家を抱える北空知農協の営農センター米穀部によると、25日から始めた調査の速報値では1株当たり26%(平年値5〜15%)のもみに実が入っていなかった。

  93年の道内の作況は確定値で40。同年8月15日現在の作況指数は道平均が88で、収穫期にかけてさらに状況が悪化した。今年は今月中旬から天候のよい日が続き、93年ほど落ち込む可能性は少ないが、農業関係者は「不稔もみが相当あり、今よりよくなることはない」と言う。

  ■古米で代用

  93年の冷害では、全国的なコメ不足となり、国は緊急輸入を実施した。北海道農政事務所によると、この年の10月の政府備蓄米は約23万トン、道内は約1万トンだった。だが、今年は6月現在の備蓄米が全国で約163万トン、道内も約27万トンあり、「10年前のような深刻なコメ不足になることはない」とみている。

  米穀データバンクによると、今年産は不作が予想されることから、多くの卸業者が昨年産や一昨年産などの古米を買っており、「新米で不足が生じても古米や古古米で代用がきく」と話している。



長沼の農家  「収量は半減に」覚悟


  道内では上川、留萌を除く支庁で、低温や日照不足の影響を受け、穂が出る出穂期が平年より5日から9日遅れとなった。特に主産地の南空知や道南地方は深刻な不作が予想されている。

  空知支庁長沼町は、豊作なら10アールあたり480キロほどの収量がある。JAながぬまの専務理事で農家の柳原寛さんは「今年は半分以下になるだろう」と大幅な収量減を覚悟する。品種別では耐冷性がやや弱いとされる「きらら397」の生育遅れが目立つという。ただ、防風林や風よけネットがある田はまずまずの状態だという。

  空知南西地区農業改良普及センターは「あまり不作の話が先行して、稲作農家がやる気をなくしては困る」と心配する。(8/28)

http://mytown.asahi.com/hokkaido/news01.asp?kiji=5460