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2003年08月26日(火) 19時55分

住基ネット“疑問”渦巻く中、本格稼働 カード発行予定、人口の1.3% /長野毎日新聞

 住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が本格稼働した25日、県内の市町村でも希望者への住民基本台帳カード(住基カード)の交付が始まった。長野、松本両市では首長が交付を受けるセレモニーを行う一方、住民からの交付申請のない小規模町村も。田中康夫知事が、現行の住基ネットの枠組みから「離脱」して県独自のシステム構築を目指す方針を示すなど、安全性や国の外郭団体が個人情報を一元管理することに対する疑問が渦巻く中、住基ネットが本格稼働に移った。【西田進一郎、森有正、反橋希美】
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 ◇市長「安全」との認識、改めて強調
 ●長野市●
 長野市では、来年3月までに、全人口の約0・5%にあたる2000枚の住基カードの発行を予定しており、そのうち500枚を準備して稼働に備えた。市民課には、午前8時半の申請受け付け開始と同時に、鷲沢正一市長が訪れ、第1号の住基カード交付申請を行った。鷲沢市長は、住基ネットの安全性について、「全然心配ない」と語り、改めて安全との認識を示した。また、住基カードの独自利用については「あらゆる所で使えるようにしたい」と語り、積極的に検討する姿勢を示した。
 同市では当面、本人確認を慎重に行うなどの理由から、カードの即日交付は行わず、市役所などで申請して4、5日後に通知書などを郵送し、再度受け取りに来てもらう方法をとる方針。市民課は、要望があり、発行に不具合がなければ、即日発行も検討するとしている。
 ◇「不安あおる」と市長が県を批判
 ●松本市●
 松本市では午前8時半、市民課に有賀正市長と上條洋幹市議会議長らが顔写真持って訪れ、申請手続きを行った。同市では住基カードの即日交付をしており、2人は早速カードを受け取った。
 有賀市長は住基ネット本格稼働について、「予定通り住民にカードが支給できてほっとしている。松本が陸の孤島にならず、住民サービスを享受できることはありがたい。カードの利便性が高まれば普及するのではないか」と話した。県が独自に情報を管理・運用する方針については、「その必要はない。県はいたずらに不安を与えるべきではない」と述べ、改めて県の姿勢を批判した。
 同市では当面、3000枚のカードを交付する予定。来年度からは自動交付機での印鑑証明書、住民票の写し発行の独自サービス開始を目指している。
 ◇自治体に安全対策呼び掛け
 ●県●
 長野県本人確認情報保護審議会が5月に「当面の離脱」を提言した際、「個人情報保護の体制が不十分」と判断した根拠は、住基ネットとインターネットが庁内LAN(構内情報通信網)を通じて接続しており不正アクセスの恐れがある自治体が27(現地調査で実際には23と判明)あることだった。
 県情報政策課によると、本格稼働の25日現在で、23自治体のうち6自治体は既にインターネットとの分離が完了。また9自治体が分離することを決め、5自治体が分離に向け検討中としている。方針未定は3自治体。
 分離完了の自治体を除く17自治体のうち、11自治体は既存の庁内サーバーと住基ネット用端末との間の接続を断ち、その間の情報の移動をフロッピーディスクなどで行う「媒体交換方式」をとっており、審議会が指摘した危険な状況が続いているのは6自治体という。
 同課は「田中知事が会見した15日以降、安全性への意識が高まり、セキュリティー対策が急速に進んでいる。残る自治体についても対策を求めていく」と話している。
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 ◇「カード独自利用せず」80自治体
 県市町村課のまとめ(6月10日現在)では、県内120市町村で住基カードの発行予定枚数は約2万8500枚で、県内人口のわずか1・3%にとどまっている。
 カード交付の際には手数料が必要で、ほとんどの自治体が交付手数料条例で定めている。県内ではほとんどの自治体が500円だが、上伊那郡10市町村では300円、大岡村では2000円に設定。一方、栄村と泰阜村では条例が成立していないため、請求があれば栄村は無料で、泰阜村は9月議会で条例が成立するまで交付を待ってもらうよう協力を求める方針だ。
 総務省は、カード普及のため、市町村に独自サービスの充実を呼びかけているが、県内で独自利用条例を制定しているのは上伊那郡の10市町村のみ。この10市町村では、証明書自動交付機を利用した住民票の写し、印鑑登録証明書の交付などができる。また、松本市も来年度からの独自利用を検討している。
 しかし、同課の調査では、独自利用を考えていない自治体が80、未定が29で、同省の思いとは裏腹に市町村側の慎重な対応が目立っている。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030826-00000001-mai-l20