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2003年08月26日(火) 19時11分

住基ネット、低調な本格稼働 カード利用の独自サービス、市町村はゼロに /福島毎日新聞

 住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が本格稼働を迎えた25日、県内の各自治体の窓口にも住基カードの発行や他自治体の住民票の写し交付など、新サービスを求める市民が訪れた。しかし、県内の住基カード発行予定枚数は人口比で1・4%弱で、カードを利用した独自サービスを行う市町村は皆無となるなど、低調な本格稼働初日となった。
 本格稼働による新サービスは(1)全国どこの市町村役場でも住民票写しを取得できる(広域交付)(2)転出入手続きの簡素化——の2点。また希望者には住基カードが発行され、カードは公的証明として使用できるほか、市町村が条例を定めれば、公共施設の予約など独自サービスもできる。
 しかし、県市町村行政グループによると、県内で独自サービスを行う市町村はゼロ。市町村が今年度の住基カード発行用に確保した予算額は2万9191枚分、人口比で1・37%にとどまっている。本宮町は「財政難で、どの程度申請があるか分からない住基カードに予算を割けない」と、50枚分の予算措置しか取らなかった。人口比は0・23%で県内最低だ。
 一方、同グループの午後3時現在のまとめによると県内の住基カード申請件数は259件、住民票の広域交付は109件だった。
 福島市役所ではこの日、▽受け付け▽写真撮影▽カード作成▽引渡しの業務に計8人を充てる万全の態勢で臨んだ。昼のニュースが流れた午後に訪れる人が急増し、初日の発行枚数は38枚だった。申請者は40〜50代の男性が目立ったという。
 ◇トラブルも
 初日のトラブルでは、同市の2支所で県内自治体間との広域交付2件が出来なかった。機器の不具合が原因と見られ、市は「速やかに詳細を調査する」と話している。また、住基ネットを運用する総務省の外郭団体「地方自治情報センター」の回線が一時的に混雑した影響で同市と二本松市、桑折町の3市町の広域交付4件で1時間以上時間がかかり、翌日以降に取得を先延ばしする人が出た。【斉藤望】
 ◇矢祭町は通常業務
 県内で唯一、住基ネットに接続していない矢祭町は、全国でネットが本格稼働した25日もこれまで通りの業務となった。住基ネット用のパソコン端末はすでに回線から切断されており、役場庁舎内に保管されている。
 住基ネットに不参加の自治体があることについて、片山虎之助総務相が矢祭町を抱える県に対し地方自治法に基づく「是正要求」を出すことを示唆しているが、古張允(こばりまこと)助役は25日、「吹きつける風が通り過ぎるのを待つ。無視を貫けば、国も県も手の出しようがないはず」と述べ、罰則のない是正要求を無視する方針を改めて示した。
 住基ネットへの不参加について、根本良一町長は25日までに、「昨年12月、県の協力で作った日本一の個人情報保護条例が議会で否決された。これは住基ネットそのものへの拒否であり、町民の判断は優先しなくてはならない」と不参加の理由を述べている。他の自治体と住民サービスの格差が広がることについては「顕微鏡で見てやっとわかるような小さな利便性よりも、個人情報の流出という事態を防ぐことが重要」としている。【坂本昌信】(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030826-00000001-mai-l07