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2003年08月26日(火) 00時00分

住基ネット本格始動松原武久・名古屋市長(右)は25日、自分の住基カードの交付を受けた=名古屋市北区役所で朝日新聞・


反対派は訴訟攻勢


  住基ネットに反対する市民団体は、近く自治体に対する訴訟をたて続けに起こす予定だ。

自治体は対応に苦慮


  「住基ネットに反対する市民の会」(代表・杉浦英樹弁護士)の会員らは、名古屋市に住基カード発行差し止めを求める住民監査請求を棄却されたことを不服とした住民訴訟を、9月に名古屋地裁に起こす。杉浦弁護士は県を相手取り、住基ネットのセキュリティーに関する調査結果の公開を求める訴訟も計画。名古屋地裁ではすでに別の市民団体「住基ネット差し止め訴訟を進める会・東海」が国などを訴えた裁判が進む。

  反対の声に対し、各自治体は住基ネット推進への説得力ある材料を示せないでいる。住基カードを使った独自サービスも、県内で具体化しているのは知多市だけ。費用対効果などから、消極的な姿勢が目立つ。

  松原武久・名古屋市長は20日、片山虎之助・総務相との懇談で「(住基カードが)本当に役立つのか、議論が出て対応に苦慮している」と、国にサービス内容を具体的に示すよう注文をつけた。

  杉浦弁護士は「住基ネットは自治体にとって国から押しつけられたお荷物。反対運動で自治体の本音を引き出したい」。

  一方、情報セキュリティーに詳しい辻井重男・中央大教授は「電子自治体化で簡単に行政手続きができ、市民の自由が広がる」と将来性を評価。一方で「プライバシーや監視社会化の恐れなど課題はある。行政は分かりやすい将来図を描くべきだ」とも指摘する。

運用初日、静かな滑り出し



  住基ネットの2次稼働の本格運用で、尾張地方の自治体でも25日、住基カードの交付などが始まった。春日井市でのカードの交付は15件で、6件の申請を受けた。1年前には番号通知を巡り、個人情報が漏れることを心配する市民からの抗議や苦情が殺到したが、最近では手続き上の問い合わせが日に数件ある程度で、免許証など顔写真付きの証明書類を持たない市民には即日交付ができないため、「手続きが面倒だ」との声が寄せられている。独自サービスの導入も検討はしているが、今のところ具体的には決まっていないという。

  一宮市ではカード交付の事前申請が28件あったが、25日の申請は5件だった。江南市と瀬戸市は同日から受け付けを始め、いずれも16件の申請があった。

  このほかカードの交付は犬山市で12件だったのをはじめ、小牧市5、津島市6、稲沢市2、岩倉市16、尾西市で9件だった。

◇    ◇


  県内で唯一、カードを独自利用する知多市では25日、32人がカード交付窓口を訪れ、予約した人ら男12人、女5人の計17人に交付された。早速、カードで住民票の写しなどを受け取る人もいた。

  全国共通サービスである住民票の写し発行以外に、同市では独自に、印鑑登録や所得、納税の各証明書の交付サービス3種と、これら証明書の交付を受ける際に必要な申請書6種の自動作成サービスが利用できる。

  カードの目的は利便性の向上だとして、積極的に導入に取り組む。交付手数料は無料で、市役所1階ロビーに休日も午後9時まで利用できる自動交付機を設置した。

  事前に交付予約したのは210人だった。同市の目標交付数は15歳以上の市民の約半数にあたる3万3600人だが、担当の総合窓口課は「図書館などでも利用できるようになれば、目標に届くでしょう」という。

  一方、独自サービスがなく交付代が500円の半田市では同日、交付を受けたのは4人だけ。「メリットがあまりないし、予想した通りの出足」と担当課でも冷ややかだ。今後も「費用対効果を考えると、今の市の財政から独自利用は無理」。

  人口約220万人の名古屋市では同日、217人に交付。市内の区役所で市外の住民票の交付を受ける新サービスの利用は29件あった。

  同市は、安全性と費用対効果の両面から独自サービスを付加していない。今後、インターネットを利用した申請など電子市役所化に向けて、有識者会議を早急に立ち上げ、サービス付加も検討するという。

◇    ◇



  2次稼働がスタートした住基ネットを巡り、豊橋市では25日、渡辺則子市議(無所属)らがJR豊橋駅など市内2カ所で「住基カードは危ない」「メリットがない」などと訴えて、抗議チラシ計500枚を配布した。

  同市役所の窓口での混乱はなく、10件の住基カードの申請があり、必要書類が整っていた6件について交付された。交付されなかった4件は免許証やパスポートなど写真付きの身分証明書がなかったケースがほとんどだったという。

  カード交付は新城市で12件あったのをはじめ、蒲郡市10、豊川市3、岡崎市5、豊田市6、刈谷市6件。赤羽根、田原両町が合併して20日に市になったばかりの田原市では、問い合わせが2件あったものの、住基カードの申請はゼロだった。

(8/26三河版、近郊知多版、尾張近郊版、名古屋版)(8/26)

http://mytown.asahi.com/aichi/news01.asp?kiji=7830