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2003年08月25日(月) 00時00分

イラク・パレスチナ情勢泥沼化 東京新聞

 【ワシントン24日沢木範久】バグダッドの国連事務所爆破テロと、イスラエル・パレスチナ間の暴力再発で、米ブッシュ政権の中東政策は破たんの危機を迎えた。難題を承知で踏み切ったイラク戦争とパレスチナ和平の仲介だが、情勢の泥沼化に対し、大統領は再び「テロとの戦い」を声高に叫んでいる。

 「戦後の欧州を民主化と繁栄に導いたように、われわれは今、中東の変革に乗り出さねばならない」−ライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、今月七日付のワシントン・ポスト紙に寄稿し、訴えた。

 「政治・経済的自由の欠如が絶望と憎悪のイデオロギーを生み、地域ひいては米国の安全を脅かす。だが今、サダム・フセイン(元大統領)の脅威は去った。イスラエルとパレスチナ間には、平和への新たな公約が生まれつつある」

 イラクで米兵襲撃が相次ぐ中、同補佐官はそう述べて、米国が中東に関与する決意を強調した。

 それから半月、情勢はさらに悪化した。バグダッドの国連事務所テロは襲撃対象の無差別化を示し、イラク復興の遅れは避けられなくなった。

 パレスチナの自爆テロと、イスラエル側の報復、停戦崩壊は、双方の「平和への公約」のもろさを示した。米国が中心となって提示した中東新和平案(ロードマップ)は、その出発点である「暴力の停止」で行き詰まったことになる。

 こうした事態に、ブッシュ大統領は二十二日、イラクに周辺諸国から「(米中枢同時テロを起こしたテロ組織)アルカイダのような外国人テロリストが侵入している」と断言した。

 また、ハマスの在米資産凍結を発表し、米国を直接の標的としてこなかったハマスも「テロとの戦い」の対象に組み入れる姿勢を示した。

 二十三日には、国民向けラジオ演説で「(テロと対決する)われわれの決意は揺るがない。どんな困難にも耐え、すべての殺人者を裁く」と呼びかけている。

 だが、「テロとの戦い」の標語も、最近は神通力がうせている。国家の戦後復興や、宗教が絡んだ対立を「テロとの戦い」で片づけられないことを、また中東への介入に国益が明確に見いだせないことを、国民も気づき始めているようだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20030825/mng_____kok_____003.shtml