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2003年08月25日(月) 00時00分

住基ネット 9自治体が分離せず朝日新聞・

 住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が本格稼働した25日、県内の49全市町村でも住基カードの交付手続きが始まったが、9自治体でインターネットと物理的に接続していることがわかった。同様のケースは長野県で問題となっており、不正アクセス対策に不安を残しての出発となった。この日、即日交付したのは17市町で、初日にカードを手にしたのは87人にとどまった。 

 インターネットとの物理的接続については、長野県の田中康夫知事が「情報漏えいが懸念される」とし、独自システムの構築を目指している。栃木県地方課は「国の安全基準を満たしており、問題ない」と説明するが、不正アクセスを懸念し自治体名は公表していない。

 同課によると、本来、外部と隔離されていることが望ましい住基ネットが、9自治体では各役場内のLAN(構内情報通信網)の回線を通じ、インターネットにつながっているのが現状。対応策として庁内LANとの間に、国の基準に従って「ファイアーウォール」と呼ばれる防御策を施しているという。

 長野県市町村課は「(回線で)物理的にインターネットと接続していれば、不正アクセスの可能性はゼロでない。切り離されているのが望ましい」としている。

 福田昭夫知事は定例会見で、「ほかのシステムと連動して(住基ネットの)個人情報が漏れるのはまずい」としつつも、「専用回線でやっているしセキュリティー対策もできている。不安は現時点で考えられない」と安全性を強調した。

 宇都宮大学の杉原弘修教授(行政法)は「電子情報がひとたび漏れた場合、取り返しがつかない。住基ネットの利便性だけでなく、どのような影響があるか住民に説明する責任が自治体にある。不安を抱えたままのスタートであることは否定できない」と指摘した。
 

 本格稼働に伴い、さっそく窓口を訪れてカードの交付手続きをする人たちの姿があった。

 鹿沼市では午後0時半ごろ、交付を待つ人が数人、窓口にいた。カードを受け取った会社員男性(45)は、「利用する頻度は少ないだろうが、興味もあって申請に来た。セキュリティーに問題があるといっても、住民が判断すること。クレジットカードや懸賞などで、個人情報はあふれ出ていると思う」と話した。

 初日のカード交付は県内で87人にとどまった。1台300万円というカード発行機を購入し、即日交付の準備を整えた自治体が17市町だけだったのが一因。他の自治体は、住基ネットを管理する「地方自治情報センター」に委託し、交付までに1週間ほどかかるという。

 一方、発行機を準備しても個人情報保護の観点から、交付作業を慎重に進める自治体もある。

 昨年8月に11ケタの住民票コードを通知する際、はがきが透けて見える問題があった小山市は、今回の交付作業中に、カードの紛失や取り間違いを避けるため、即日交付を見合わせることにした。

 宇都宮市も発行機を2台設置したが、「早さより安全性を尊重した」結果、即日交付はしない。

 また住基カードは各自治体の判断で、体育館の利用や図書館の貸し出しのオンライン予約に使うことも可能だが、県内でサービス提供はない。

 馬頭町の担当者は「町独自にサービスを始めても、1年半後に予定される合併で、終わりになってしまう」と話した。宇都宮市の担当者も「財政難の中、カードの普及率も定かでない現状では、新規サービスは難しい」と説明した。
(8/25)

http://mytown.asahi.com/tochigi/news02.asp?kiji=3605