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2003年08月20日(水) 23時13分

「スパムの法規制なんて無理」と連邦取引委員会の委員長自らが認めるMYCOM PC WEB

米連邦取引委員会(FTC: Federal Trade Commission)の委員長を務めるTimothy J. Muris氏は、現在、米国内で制定を目指して審議されている多数のスパム対策法案について、「どの法案も真の解決策とはならない」との見解を公式に発表した。米国コロラド州で開催されたAspen Summitにて、政府関係者に向けコメントしている。

米国では、電話によるセールスを拒否できるリスト「National Do Not Call Registry」への登録が開始されている。10月より正式に運用が開始される同リストは、登録された電話番号にセールス目的で電話をかけるなら、違犯した業者は罰金刑を課されるシステムになっており、すでに登録電話番号の数は3,200万件を超えているという。

同氏は、National Do Not Call Registryという法的な規制により、テレマーケティングの被害から消費者を保護できることへの自信を表明したものの、同時に、各地で導入のリクエストが上がっている「Do Not Spam」リストについては、何ら役に立たないとの考えを明らかにした。迷惑メールへの対策に、その種のシステムを確立しようとして、時間や労力、資金を無駄にすることがないようにとまで語っている。

いかにスパム対策法案が無力かについて、同氏は、違反者を法的に処罰することが非常に困難であることを指摘。インターネットの匿名性により、スパム送信業者を特定するのは容易でないとの理由を挙げている。また、ほとんど資金を費やさずに大量の迷惑メールを発信できるのに対し、スパム取り締まりには多額の費用が必要とされる矛盾もある。一例として、ある法案では、スパム送信者を罰するために1万通の迷惑メールを送信した証拠の提出が求められており、刑罰に含まれる資産の差し押さえも、スパム送信業者は一般的に少額の資金で業務を行っているため、ほとんど実効性がないとされている。

「最終的にスパムの問題がなくなるとすれば、それは技術革新によるものだ」と同氏は発言し、法規制の努力を進めるよりは、強力なスパムフィルターの導入など、技術的なアプローチでスパム対策に当たっていくよう奨励している。法案によってしてもスパムの猛威は止めることができない - その厳しい現実が明るみになった形だ。

なお、今後のFTCの方針としては、これまで通り消費者からの苦情を積極的に受け付け、悪質なスパム業者や電子メールを利用した詐欺行為を厳しく取り締まっていく姿勢は変わらないことが発表されている。

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FTC
http://www.ftc.gov/

(MYCOM PC WEB)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030821-00000090-myc-sci