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2003年08月16日(土) 00時00分

一九六五年のニューヨーク大停電のとき、同地に駐在する友人か… 東京新聞


 一九六五年のニューヨーク大停電のとき、同地に駐在する友人から、長文の手紙をもらったことを思い出した。大都市での不意のブラックアウトがどんなものか、銀行員らしい律義さで事細かに記されていた▼真っ暗な階段を、業務の責任を果たすため手探りで上っていったこと、みんな忍耐強く対応しようとしたことなど。「東京でこんなことが起きたらどうでしょうか」と結んであった。大都会の突然の恐怖がよくわかった▼ニューヨークでは、一九七七年にも大停電があり、最長二十五時間、一千万人近くが影響を受けた。こんどの米国、カナダに及ぶ大停電は五千万人に影響が出た。大停電は「前代未聞」というよりは起こり得るものと思われていた節があり、送電網のもろさもある程度知られていた▼しかし、こんどの大停電は、今までと異なっていた。あの「9・11」テロの後だったからだ。だれしも「すわ、テロか」の思いが頭をかすめたにちがいない。ブッシュ米大統領は、テロの可能性を明確に否定する一方で、これが「重大な国家的問題」であるとの認識をしめした▼「9・11」の経験は、非常時に面して恐怖心をあおるというよりは、一つの「学習効果」を発揮したように思われる。ニューヨーク市当局は何よりも治安維持を重視した。市民も「あの時」を思い出して冷静に対応できたようだ▼日本では「わが国では起こり得ない」と楽観する向きもあるが、事が起きたときの対応が何よりも重要なことも思い起こしたい。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20030816/col_____hissen__000.shtml